函館野外劇 昼2回公演に 舞台設置せず入場無料
update 2015/2/7 10:11
NPO法人市民創作「函館野外劇」の会(中村由紀夫理事長)は6日、函館市中央図書館で役員総会を開き、今夏の公演は舞台を建設せず、五稜郭公園内の一の橋付近と五稜郭タワー内のアトリウムで入場無料とすることを決めた。内容も過去の人気場面を集めた30分のダイジェスト版に短縮し、昼間に2回の公演とする方針。同会事務局は「これまで市民の皆様に支えてもらった感謝の意を込めた公演にし、来年へつなげられるよう努力する」と話した。
野外劇は函館の夏を代表する一大イベント。1988年の初演以来、五稜郭公園の東南側に堀などの地形を生かしたステージを作ってきたが、昨年は3月に石垣が崩落した影響で場所を郭内に移し、規模を縮小して実施した。
ことしの日程は7月18日から8月16日までの土・日曜日に全11回(7月20日の祝日も公演)。舞台を設営しないため、観客席はお年寄りなど席を必要とする人を対象として、必要最小限を準備する。公演時間はこれまでの約半分になるが、劇の質を落とさないよう演出上の工夫をし、昼間の公演にすることで多くの子どもや観光客に見てもらうなど、新たな客層の開拓を目指す考え。入場料は徴収しないが、「投げ銭」を受け付ける。昨年に引き続き殺陣(たて)のワークショップや出前講座を実施する。中村理事長は「函館にとってかけがえのないイベントであるということを繰り返し伝えていきたい」と述べた。
ただ、函館市教委は新年度に予定している石垣の修復が終わっても、堀周辺の崩落の危険性を考慮し、会場としての使用を認めない考え。来年以降、堀を利用した公演を望む同会は見通しが立たない状態になっている。役員からは「堀を使ってこその野外劇だ」「会として堀を使った公演ができるよう訴えかけていくべきだ」との意見が上がった。同会事務局は「崩落した部分の修復だけでなく、五稜郭全体の再整備の問題として訴えていきたい」とした。
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