海藻「ダルス」 産業利用へ前進

update 2015/1/6 10:21


 道南で採れる海藻「ダルス」の資源利用に向けた研究が進んでいる。高温で長時間加熱しても緑色が失われない特性を生かし、レトルト食品だけでなく、チルドや冷凍、水産練り製品など幅広い用途への応用が期待できる。また、栄養成分の鉄、ヨウ素、ビタミンAをバランス良く含むことも明らかになり、食品素材として有益といえそうだ。

 「海のパセリ」とも呼ばれるダルスは寒海性の海藻。紫色がかった紅色で、カナダやアイルランドではサラダやスープなどに使われる。日本では収穫対象になっておらず、産業利用は進んでいない。

 道立工業技術センター(函館市桔梗町)は、収穫直後に赤紫色を呈するダルスが、特定条件で加熱すると緑色に変わり、120度で処理しても良好な緑色が保たれることを見いだした。これにより、従来使われていたネギやワカメなどの緑色食材は熱に弱かったが、未利用海藻という天然素材を使い、熱に強い緑色を提供できる。

 レトルト食品での使用を見据えており、さらに研究発表に食品メーカーが強い興味を示したことで、チルド食品や冷凍食品、水産練り製品など、より広い分野で採用される可能性が出てきた。同センターでは実用化に向けた課題検証を進めている。

 また、世界で不足しがちな三大栄養素として知られる鉄、ビタミンA、ヨウ素をバランス良く持つことも同センターの研究で分かった。2月には、南茅部地区の久二(きゅうに)野村水産(野村譲社長)がボイル塩蔵品を試験製造する予定で、食品メーカーへの利用検討を促す。

 同センターの木下康宣研究主査は「産業利用に向けた可能性は高まっている。ダルスの利用が進めば、他地域にはまねできない海藻の資源価値を見直すことになる」と話す。ダルスの研究は農水省の本年度「新需要創造支援事業」を活用、北大大学院水産科学研究院と連携して行っている。

提供 - 函館新聞社

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