南茅部の海で再起、南三陸で被災の佐藤さん

update 2015/1/4 10:29


 函館市臼尻町でダイビングサービス「グラントスカルピン」を経営する水中写真家の佐藤長明さん(45)=高松町在住=が、南茅部地区でダイバーとして再起を果たし、活動の場を広げている。同地区の魚や海藻などの海洋生物を撮影した写真集(非売品)を自主制作するなど、海の魅力アピールに貢献している。

 宮城県南三陸町出身。旅行で訪れた太平洋に浮かぶ島パラオでのダイビング体験を機に、ダイバー免許を取得。南三陸で2000年にダイビングサービス会社を開業し、年間約1500人の客が訪れていたという。

 東日本大震災時は仕事でカナダにいた。数日後に南三陸に戻ったが、自宅兼会社が津波に押し流された。覚悟はしていたものの、目の前の惨状に言葉を失ったという。「家族やスタッフは無事だったが、親戚が亡くなった」とぼうぜん自失の日々を送った。

 南三陸での会社再開を断念し、親戚を頼って道内へ。その後、再起を考え函館に移住し、拠点として選んだのが南茅部地区の臼尻町だった。南茅部には過去にシュノーケリング教室で訪れたことがあり、南三陸と同じ親潮も流れており、環境が似ていることが決め手となった。

 「同じ海流で、海藻や生物のバリエーションも豊富で、南三陸と共通している点が多い」と佐藤さん。2012年に設立した南茅部の会社では、毎日のように潜り、四季折々の海洋生物を調べながらガイドとしての知識を得ている。全国から年間約300人の客が訪れている。

 潜るたびに、南茅部のさまざまな海洋生物をカメラに収めている。昨年6月に出版された「世界で一番美しいイカとタコの図鑑」(エクスナレッジ出版)では、佐藤さんが撮影したヤリイカの写真が表紙を飾ったほか、専門誌や週刊誌で写真が紹介されたことも。また、ダイバーの客と一緒に集めた写真集も作った。写真集の中の作品を展示する写真展も、同11月にJR函館駅構内で開催した。

 受け入れてくれた南茅部の住民に感謝は尽きない。だからこそ活動の幅を広げ、同地区の海の素晴らしさをアピールしたいと願う。「まだ日は浅いが、新しい発見が多く、やりがいを感じている。地区の人たちのため、海の魅力を伝えることができれば」と意気込んでいる。

提供 - 函館新聞社

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