2015年 地域経済は
update 2014/12/31 10:33
2014年は、消費税が8%に引き上げられたほか、電気料金の再値上げもあり、家計や企業活動に大きな影響をもたらした。経済政策の効果もあり、持ち直しの動きを続けているが、増税に伴う駆け込み需要の反動減の影響もまだまだ残っている。来年は道南に明るい兆しが見えるのか。日銀函館支店の沼本奈美支店長と財務省函館財務事務所の奥村一夫所長の2人に地域経済の現状と来年のポイントを聞いた。
■日銀函館支店 沼本奈美支店長
◇所得アップで好循環を
4月に消費税率が引き上げられ、駆け込み需要の反動減は6月ごろまで続き、夏場には良くなっていくという期待感があった。ただ、影響は長引き、年末になった今も、住宅や自動車、家電など価格が張るものに残っている。一方で観光は力強い。夏場は天候の乱れなどの影響もあったが、インバウンドの客が好調で、勢いがあるのは地域経済にとって好材料。全体としては緩やかに持ち直しているといえる。
来年のポイントは「所得環境がどうなっていくか」。所得が上がり、支出が増えるという前向きなメカニズムが力強く働いていくことが何よりも大事。企業側から見ると、収益アップにつながる。こういった好循環をつくれるかどうかだ。
もう一つは「人の流れ」。来年8月にオープンする函館アリーナには域外からも大勢の人がやってくるだろう。大きなコンベンションの誘致活動もしやすくなる。国際都市として国際会議を誘致すべきだ。また、16年3月の北海道新幹線開業を控え、イベントが数多く開かれる。いずれも基幹産業である観光に大きな効果をもたらすはず。長期、短期的に見ても明るい材料だ。
■財務省函館財務事務所 奥村一夫所長
◇材料豊富 伸びしろ十分
地元企業からは、アベノミクスの恩恵が届いていないという声が上がっている。消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減は想定内だったが、夏以降も勢いが戻らず、基幹産業の一つである水産業からは特に厳しい声が聞かれた。ただ、企業の生産活動は堅調に推移しており、観光の数字も好調。雇用は一部でミスマッチが見られるものの、求人倍率は改善した。
来年は函館アリーナがオープン。北海道新幹線開業の足音も近づくなど、明るい材料は多い。他の地域と比べて函館は伸びしろが十分あり、可能性を秘めた都市だといえる。14年度末の北陸新幹線開業で、観光客の減少を懸念する声も聞かれるが、あまり影響はないのではないか。アジア各国と函館を結ぶ航空便が増え、引き続き外国人観光客が函館観光をけん引していくだろう。
大門・五稜郭地区では再開発ビルの建築が進んでいる。建物の姿が徐々に現れてくると、中心市街地活性化に向けた市民の機運も高まっていくだろう。ことし後半には大型スーパーが開店するなど、少しずつ芽は出てきているので、今後の動きには期待を寄せている。
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