洞爺丸事故 生存者が語る

update 2014/12/10 10:23


 【北斗】北斗大野中学校(齋藤康夫校長、生徒272人)は9日、1954年に起きた青函連絡船「洞爺丸」の沈没事故の生存者、秋保栄さん(81)を同校に招き、命の大切さを学ぶ授業を開いた。

 秋保さんは当時21歳で、料理人として洞爺丸に乗船し、事故に遭遇。「船が前後左右に大きく揺れ、皿が床に落ちてバリンバリンと音を立てていた。船内はパニック状態だった」と凄惨な様子を伝えた。

 室内に及んだ海水に頭までつかり、「ここで死ぬんだ」と家族の名前を叫んだという。船が揺れて海水が動き、頭が水面から出た瞬間を見計らって窓からデッキへ脱出。その後どうにか岸にたどり着き、付近住民2人に介抱されて難を逃れた。 秋保さんは体験を踏まえ、「自然には絶対に勝てない。例えば山に行くとき、『きょうは危ないから行かない』と自分で正しい判断をすることが命を守ることにつながる」と強調した。

 最後に生徒会長の中村奈珠さんが「命が危機にあるときこそ諦めてはいけないことや、強い心を持って生きていくことの大切さを学びました」とお礼を述べた。

提供 - 函館新聞社

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