廃棄物活用 高専生が研究

update 2014/12/9 10:15


 函館高専(岩熊敏夫校長)の物質工学科5年生4人が、ホタテの外套膜と精巣から調味料になる「呈味性(ていみせい)エキス」、トウモロコシの芯からバイオエタノールを開発する研究を進めている。廃棄物を活用し、高付加価値製品の創出につなげたい考えだ。

 小原寿幸教授の研究室に所属する佐藤樹梨花さん(20)、田井中玲奈さん(20)、高橋桃子さん(19)、秋田裕有子さん(19)が卒業研究として取り組む。

 ホタテ貝柱から作った粉末エキスは既に商品化されており、さまざまな料理に使われる。学生たちは通常捨てられるホタテの外套膜と精巣の新たな可能性に着目した。

 研究では、外套膜と精巣のタンパク質を酵素分解したアミノ酸を、凍結乾燥して粉末エキスが完成。そのままだと苦味や生臭さが強いため、苦味を低減する包接化合物「シクロデキストリン」を加え、シクロデキストリンを加えたものとそうでないものを呈味試験した。シクロデキストリンを加えたものは苦味を改善することができるが、同時にうま味や甘みも薄まり、あまり良い結果ではなかったという。

 学生たちは、味の改善に向けて外套膜と精巣をボイルしたり、タンパク質を分解する時間を長くしたりするほか、酵素量の増加、シクロデキストリンの最適な添加量を探る実験を重ねている。佐藤さんは「貝柱エキスは1`1万円する商品もあるが、未利用資源を使えばもっと安く製品化できる」と話す。小原教授は「中華料理の隠し味として活用できれば」と期待を込める。

 一方、トウモロコシの芯からは、バイオエタノールを効率よく生産するための前処理方法を研究中。田井中さんは「作物をバイオ燃料に使うか、食用に使うのかという競合が起きており、芯だと食料と競合しない」と未来のエネルギー源の可能性を強調している。

提供 - 函館新聞社

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