「ナッジ理論」で八幡坂の混雑対策探る オーバーツーリズム研修
update 2025/10/25 20:07
観光客が道路上に立ち止まり撮影するなど、函館市の観光名所・八幡坂でのマナー違反への対策を考える「ナッジ研修オーバーツーリズム対策」がこのほど、市地域交流まちづくりセンターで開かれた。市や道運輸局、市内のホテルや大学などから約30人が参加し、人間心理に即した考え方に基づく解決策を探った。
同研修は道観光機構の観光事業育成事業で14日に実施。「ナッジ理論」とは、人々の行動を強制するのではなく、選択の自由を残しつつ自然に望ましい方向へ導く考え方。税制や規制ではなく、行動科学に基づいた実践的手法で、視覚的な誘導表示や利用しやすい選択肢の提示などによって、行動変容を促すことが可能とされる。
参加者は事前に八幡坂周辺を視察。普段は立ち入ることができない北海道国際交流センターの屋上のほか、観光客と同じ目線となる歩道から現状を確認した後、NPO法人北海道行動デザインチームの阿部泰己理事が講師を務め、「ナッジは情報提供や規制、財政的手法を補完するものであり、観光地の課題解決に役立つ」と解説した。
ワークショップでは、台湾からの女性観光客を想定した来訪者像を設定。旅行の経緯から坂での記念撮影に至るまでの行動を「プロセスマップ」にまとめ、事故防止に向けてどのような要因が行動を妨げ、どのような工夫が行動を促すかを分析した。さらに、行動を簡単に、魅力的に、社会的に、タイムリーに促す枠組み「EAST」モデルを用い、現場で生かせる解決策を検討した。
研修に参加した市観光推進課コンテンツ開発担当の広部博之主事は「ナッジ理論は言葉として知ってはいたが、考え方やプロセスはいろいろと使える。とても勉強になった」と話した。
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