重文「旧相馬家住宅」の維持保存に向けた不動産CF、5日に開始

update 2025/3/4 07:44


 函館市元町の国指定重要文化財「旧相馬家住宅」を取得したLEVECHY(レベチー、東京、高将司社長)は、SPC(特定目的会社)を設立して同住宅の維持保存に向けた不動産クラウドファンディング(CF)を5日に開始すると発表した。併せて、市内で赤レンガ倉庫を改装したホテル「ニッポニアホテル函館港町」を運営するバリューマネジメント(大阪、他力野淳社長)と協働し、同住宅の重文対象外エリアをホテルに改修し、年末をめどにオープンする方針だ。

 同住宅は、幕末明治期に財を築いた豪商・初代相馬哲平(1833〜1921年)の私邸として明治末に建造、2018年12月に主屋と土蔵が重文に指定された。解体の危機にあった09年、市内で不動産業を営む東出伸司さん(85)が取得して翌年から一般公開を行ってきたが、高齢で維持管理が困難となり、1月末にレベチーと売買契約を結んだ。

 レベチーはSPC「函館旧相馬家住宅ファンド合同会社」を設立し、資金調達と不動産管理に向けたCFを5日から実施。SPCは不動産の保持と管理にのみ事業を限定するため、レベチーが倒産した場合でも同住宅の差し押さえを防ぎ、意図しない形で重文が継承されないよう「倒産隔離」を行えるのが特徴。高社長は「我々から切り離すことで健全に資金を集められる」としている。今月23日まで投資を募り、1万円から参加できる。目標金額は2億2000万円。ファンドは4月30日に運用を開始、運用期間は5年間を想定し、投資金額の4%の利回りを目指す。SPCを活用したCFによる重要文化財の継承、保存は日本初という。 4月末に所有権を移転した後はバリューマネジメントが運営を担当。一般公開を続けるとともに、カフェとしていた約680平方メートルを改修して客室2室を設置するほか、土蔵を保存しながら客室として活用。重文としての価値を守るとともに、特別な滞在体験を提供するとしている。

 両社は3日に会見。高社長は「和洋の文化が入り混じった歴史的建造物の多い函館にはさらなる発展のポテンシャルがある。市民だけでなく、日本の良いものを継承していくことに賛同してくれる方に投資してほしい」と話した。他力野社長は「(住宅は)民間が函館の街を支えてきたことの証明の一つで、歴史の1ページが建物を通じて残っていくことは非常に意義深い。ただ宿泊するだけでなく、新たな体験価値を掘り起こしていきたい」と意欲を見せた。

提供 - 函館新聞社

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