青春の味 心も温まる 厚沢部の前井食堂、お年寄りにラーメン振る舞う

update 2016/1/22 10:13


 【厚沢部】青春の味をもう一度―。町内の人気店「前井食堂」(本町45)が「前井さんのラーメンが食べたい」という町内のお年寄りの思いに応えて老人施設で“屋台”を開き、心を込めた一杯を無料で振る舞った。懐かしの味に入所者は感激し、同店は「昔の常連さんに食べてもらいたかった。皆さんの支えでお店があり、感謝の気持ちも伝えたい」としている。

 同店は1897(明治30)年創業の老舗。日本海のニシン漁が盛んだったころ、江差などから馬車で峠を越えて函館側に向かう途中に店を構え、峠を越える長旅に挑む先人の活力になった。5代目店主の前井敏弘さん(52)は地域とのつながりを大事に厨房に立っており、現在でも多くの住民に愛される存在だ。

 前井店主は昨年11月、町内の介護付き有料老人ホーム「ゆいま〜る厚沢部」の関係者から「ここのラーメンを懐かしむ利用者がたくさんいる」という話を聞き、「店の休日に出向いて食べてもらいたい」と約束した。12月6日に前井店主と妻のみきさん(52)、前井店主の母親美恵子さん(73)がゆいま〜るを訪れ、自家製の麺とスープ、店舗の丼ぶりを持ち込み、約20食分を振る舞った。

 「出前ではなくて、店と同じ雰囲気で」(前井店主)とトレードマークの前掛けとタオルを頭に巻いた姿にもこだわった。入所者の健康を気遣って薄めの味付けにし、スープを飲み干すお年寄りの姿を笑顔で見守った。町広報誌では「感激のあまり、涙を流しながら食べる人も」と紹介された。

 同施設は「前井食堂の好意がありがたく、温かな時間を過ごすことができた」と感謝。前井店主は「入所者の中には幼少時から食堂に通ってくれた人もいる。こんなに喜んでもらえて、こちらこそうれしい」と話している。

提供 - 函館新聞社

その他の新着ニュース

前のページにもどる   ニュースをもっと読む



ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。

ページ先頭へ

e-HAKODATE .com
e-HAKODATEは、函館市道南の地域情報や函館地図、旅行観光情報、検索エンジンなど、函館道南のための地域ポータルサイトです