患者の容体を遠方で把握、函病がシステム導入
update 2015/12/25 10:15
市立函館病院(港町、木村純院長)は、心臓ペースメーカーや植え込み型除細動器(ICD)などを利用する患者の状態を把握する「遠隔モニタリングシステム」の導入を始めた。脈拍の状態やペースメーカーのバッテリー残量などを、電話回線を通じて病院側へデータ送信するもので、道南の医療機関では初めての試み。同院循環器内科の蒔田泰宏科長は「患者の不安を和らげ、適切な診療に役立てたい」と話している。
ペースメーカーは脈が遅い人などの皮下に埋め込み、心筋に電気刺激を与えて正常な心拍を補助するもの。ICDは致死性の不整脈などを察知すると、電気ショックを発生させ突然死を防ぐ装置で、これらの機器を同院で新規に植え込む患者は年80〜100人に上る。
モニタリングは2008年から日本に導入されており、同院では国内での使用が認められている4社ほどの機種に対応。患者の自宅にデータ送信機を設置し、ペースメーカー内に蓄積された心臓や機器の状態を示すデータが、電話回線を通じて医師のパソコンや携帯電話、専用サーバーに送られる仕組みだ。
1日分のデータは毎日午前2〜4時に自動送信され、病状悪化やリード(導線)の断線などの植え込み機器の不具合が生じた場合は、即座に通知される。心不全によって血液中の水分が肺にたまっていないかどうかも同時に確認できる。
手術後には年2〜4回程度植え込み機器の定期検診を受ける必要があるが、モニタリングによって年1回に負担を軽減。患者の中には松前や奥尻、青森県在住の人もおり「天候が悪く、どうしても来院できない患者の精神的負担も軽減できる」。また、同院ではこれまでバッテリー切れなどが要因で急変し、救急搬送されてきた患者もいるといい、導入によるトラブルの早期発見が期待される。
送信機の患者負担はなく、旅行などにも携帯可能。今後新規に機器を植え込む患者を対象に、モニタリングの導入を進める考えだ。
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