OPEC減産合意で不安増す市民 ガソリン・灯油値上げ続く可能性も
update 2016/12/3 09:48
石油輸出国機構(OPEC)が11月30日の総会で、8年ぶりに原油を減産することで合意した。今後見込まれる原油価格の上昇は、ガソリンや灯油、重油の値上げに直結して個人消費や企業活動に大きな影響を及ぼす可能性があり、市民や漁業関係者らは不安を募らせている。
函館市がまとめた11月のレギュラーガソリン1リットルの平均価格は125・10円で、3カ月連続で値上がり中。3月には110・68円まで下落したものの、OPECの減産合意を見越した原油価格の引き上げに伴い、上昇傾向が続く。函館地方石油業協同組合の伊藤清隆事務局長は「値上げ基調が続くと思うが、上昇幅がどのくらいになるかは予測がつかない」と、先が見通せない状況に困惑する。
コープさっぽろ(札幌)は5日、函館市内の灯油の定期配達価格を1リットル当たり3円引き上げて67円とする。冬季の需要増加と原油価格の上昇によるもので、値上げは2カ月連続。市内のガソリンスタンドで灯油を購入していた会社員男性(58)は「今年の冬は寒くてストーブをつける時間が多く、灯油の減りも早い。少しでも安いところでまとめて買うようにしている」と話す。
光熱費が経費の約6割を占めるという銭湯業界にとっても原油高は痛手だ。田家町5で公衆浴場「田家の湯」を経営する木村正裕代表は「重油を使う銭湯は特に影響を受ける。価格統制で入浴料金は決められており、すぐに値上げできないので負担は大きい」とため息をつく。
漁業関係者も原油相場の動向を注視する。函館市漁協は「イカ釣り漁船はA重油、船外機艇はガソリンを使うので、燃油値上がりによる影響は大きい。ただ、イカ釣りは漁期終盤で、これから使う量は減っていく。燃油は一度高くなると高止まりが懸念されており、来春に向けて情報を収集しながら注意深く推移を見守っていきたい」とする。
全国のレギュラーガソリン価格の調査を行う石油情報センター(東京)は「OPECの減産と円安が続く為替動向から、早ければ来週にもガソリン1リットル当たり5円程度は上がるだろう」とみる。一方で、先行きについて「米国によるシェールオイルの生産が増えれば上昇幅はある程度抑制される。OPECの加盟国が合意を守らなければ、反動で一気に価格が下落する可能性もある」とも指摘している。
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