木古内でウニ養殖実証事業へ 漁業者の収入増

update 2016/11/6 09:47


 【木古内】渡島総合振興局は来年度から2カ年計画で、漁船利用が減った木古内町内の漁港でウニ養殖のモデル実証事業を行う。ウニを沖合から漁港内の静穏域に移動し、未利用資源であるコンブの根っこを給餌することで実入りを改善。北海道新幹線の開業効果により観光客の増加が続く優位性を生かし、ウニのタモ網漁業体験も展開し、漁業者の収入増を目指す。

 町内の漁港では、資源の減少や高齢化の進行に伴い漁船利用が減少。漁船が20年前は50隻だったが、現在は20隻にまで減った漁港も。事業では、船を港内の支障のない場所に係船することで、静穏域を有効活用。静穏域は、高齢者に安全な就業環境を提供できるメリットがある。また、しけでも常時、新鮮な水産物を提供でき、高値取引につながる。

 沖合には磯焼けによって実入りが悪いウニが大量に生息しており、このウニを静穏域に移動し養殖。餌には、大半が廃棄処分されるコンブの仮根「ガニアシ」など未利用海藻を使う。餌を集中的に与えると、短期間で出荷可能となり、漁業者の収入増に結び付く。

 ガニアシなどの廃棄物処理費とウニの餌代を節減できるほか、ウニの殻を将来的には「ろ過材」にリサイクルすることも視野にゼロ・エミッション(廃棄物ゼロ)を実現する。

 新幹線開業に伴う観光客の増加を生かし、市価よりも安く観光客にウニのタモ捕り漁業を体験してもらう。高鮮度なウニを漁港内や道の駅「みそぎの郷きこない」に持ち込み、観光客自ら堪能する構想だ。

 同振興局は漁業の低迷を受け、今年4月に水産課内の係長以上11人でプロジェクトチームを立ち上げ、漁村活性化策を検討。その一環で今回の事業を考案し、上磯郡漁協や木古内町などで組織する協議会を年度内につくる方針。財源は道の地域づくり総合交付金を活用したい考えだ。

 古明地恵一水産課長は「新たな漁業経営手法として全国的にも聞いたことがない試み。松前、福島の漁港でも実施する予定で、成功事例をつくり、他地域に普及できれば」と話している。

提供 - 函館新聞社

その他の新着ニュース

前のページにもどる   ニュースをもっと読む



ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。

ページ先頭へ

e-HAKODATE .com
e-HAKODATEは、函館市道南の地域情報や函館地図、旅行観光情報、検索エンジンなど、函館道南のための地域ポータルサイトです