道南の建設業苦境 上半期の公共工事低迷
update 2016/10/13 09:47
道南の建設業が苦境にあえいでいる。北海道建設業信用保証(札幌)がまとめた、本年度上半期の道南の公共工事請負金額は、前年同期比5・8減の499億7000万円と過去10年で2番目に低い水準に低迷。道からの発注工事が伸び悩んでいるのが要因だ。人手不足も深刻さを増す中、業界では次世代を担う経営者や幹部らが学生を対象とした現場説明会を開くなど、若い人材の確保に乗り出している。
道南の請負金額の減少は2期連続。渡島は同6・8%減の383億3500万円、桧山は同2・2%減の116億3500万円だった。一方で、道内全体では同7・9%増の6686億8100万円となっている。
函館建設業協会の福西秀和副会長は「国からの発注分は少し増えてきているが、以前と比べて道からの落ち込みが大きい。トンネル建設などの大型工事があっても管外の大手が受注することが多く、地元の恩恵は少ない」と肩を落とす。
人手不足の深刻化も業界の悩みの種だ。函館公共職業安定所によると、8月の「建設・採掘」の有効求人倍率は1・99倍と、求人数が求職者数を大幅に上回った。福西副会長は「雇用回復を背景によりよい条件を求める動きがあり、労働条件が厳しい建設業は敬遠されている」と指摘。若手の人材難で、業界では作業員の平均年齢が40代後半を超えているのが現状だ。
こうした状況を解消しようと、道南の若手経営者や幹部ら29人でつくる函館建青会(伊関寿之会長)は7日、市内で函館高専社会基盤工学科の2年生34人を招き、現場見学会を開催。建設業の仕事に関心を深めてもらい、地場企業への就職を促す狙いだ。
日吉町で整備中の道道文教通の現場で測量体験やクレーン車の作業などを見学した吉田叶美さん(17)は「実際の作業に触れることができて、とても参考になった」と話していた。
ただ、同校によると、同学科で来年度就職が決まった学生25人のうち、道内にとどまるのは函館市内の1人を含めて7人のみ。学生の間では道外志向が強いという。伊関会長(48)は「現場で働く人間は、土木工事が地域の安全、安心を支えているという誇りを持って仕事をしている。一緒に古里を支える学生が一人でも増やせたらうれしい」と話していた。
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