若松埠頭12万トン級想定 摩周丸と並んで係留
update 2016/9/21 09:54
函館市は20日、国に整備を要望している若松地区の旅客船専用埠頭(ふとう)の想定について、市青函連絡船記念館摩周丸の沖側に水深10メートル、延長360メートル規模の係留施設を整備する考えを示した。新設整備ではなく、既存係留施設の改修と位置付けることで、早期の事業採択を目指す。市は港湾計画に明記するため、26日に市役所で開く地方港湾審議会に変更案を諮る。
市議会一般質問で金沢浩幸氏(市政クラブ)、阿部善一氏(民主・市民ネット)が質問した。
現行の港湾計画には若松埠頭には5万トンクラスの係留を想定し、水深9メートル、延長310メートルとする計画が盛り込まれている。近年の大型化する客船には対応できていないため、想定規模を拡大。「ダイヤモンド・プリンセス」(11万5875トン、全長290メートル、全幅37・5メートル)と同クラスの係留が可能な施設を見込んだ。
市が検討する整備手法は、摩周丸の右舷側にある「ドルフィン」と呼ばれる係留施設2基の改修とその延長線上に別の係留施設を整備。緑の島の方向に向かって客船と摩周丸が並んで停泊するイメージとなる。陸上側には乗客が利用する桟橋施設などの整備も見込む。
周辺の水深は8メートルで、大型客船の入港には大規模なしゅんせつ工事が必要となるが、現在、西埠頭に停泊することの多い4万総トン級以下の客船は、航行可能で、整備効果を早期に高めるために整備途上で暫定供用も視野に入れる。
ただ、水深10メートルまで掘り下げた場合、排出される土砂は50万立方メートルと想定。緑の島造成時の7割程度に相当する。阿部氏は「有害物質を含んでいた場合は処理が大変になる」などと、事前に処理方法を明確にしておくべきだと求めた。市は「原則的には発生した土砂は基本的には港内で埋め立てし、他の事業への流用なども想定している」とした。
また、事業は国直轄事業で、国が事業費の3分の2、市が3分の1を負担することになる。國安秀範港湾空港部長は「国直轄事業での整備を要望しているが、具体的な事業費を示して要望しているわけではない」と述べた。
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