虐待増337件で過去最多 15年度の函館児相
update 2016/7/21 09:44
函館児童相談所(児相)に2015年度、渡島・桧山管内から虐待が疑われるとして寄せられた相談のうち、虐待と認定した事例が前年度比70件増の337件(速報値)と、過去最多となった。このうち、親が子どもの目の前で家族に暴力を振るう「面前DV(ドメスティック・バイオレンス)」などの心理的虐待が185件と半数以上を占めた。
同児相によると、心理的虐待は面前DVをはじめ、無視や暴言を浴びせるなどがみられるという。食事を満足に与えない、衛生管理ができず、子どもの成長に支障をきたすなどといったネグレクト(育児放棄)が86件。「殴る」「蹴る」などの身体的虐待が65件となり、昨年度から順位が入れ替わった。また、性的虐待も前年度と同数の1件あった。
虐待者は実母が147件と最も多く、実父は141件。虐待を受けた子どもの年齢は小学生が118人と最多で、就学前の乳幼児も全体の約4割を占めた。
虐待の通告主は「警察など」が178件と最も多く、警察が面前DVを心理的虐待として児相に通告する動きが広まっている。道からは42件、近隣・知人からも39件寄せられ、同児相は「市民の虐待に対する関心が高まり、連絡してくれているのでは」とする。
虐待と認定した相談への対応は、助言指導が285件と8割以上を占める。在宅のまま保護者へのカウンセリングを行ったり、子育てに関する助言、行政サービスの活用を支援したりし、「児相は福祉行政の場で、保護者を罰する所ではない。子どもが安心して暮らし、成長できる方法を一緒に探し、子育てを学ぶことで虐待を断ち切れる」とする。
虐待をめぐっては、産後うつや保護者の病気、生活困窮などさまざまな要因が絡み合って発生するという。未然防止、対応について、同児相地域支援課の黒龍美紀課長は「関係機関、地域が連携して支えていかなければ」とし、「児相でも市町村の窓口でも、迷わず連絡することが、子どもを救う第一歩」と呼び掛けている。
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