「はまなす」惜しまれ廃止
update 2016/3/23 10:26
JR全社で最後の急行、ブルートレイン、そして青函トンネルを通る最後の在来線旅客列車となった「はまなす」(青森−札幌)の下りが22日未明、函館駅に到着し、札幌へ向かった。函館駅の8番ホームは鉄道ファンや同列車の乗客合わせて約800人で混雑し、けん引する機関車の交換作業を目に焼き付け、別れを惜しんだ。
「はまなす」は、1988年の青函トンネル開業から運転を開始。夜間に本州と北海道を結ぶ足として、ビジネスや旅行客に親しまれてきた。北海道新幹線開業後は、同トンネルの電圧がけん引する機関車に合わないことなどで廃止となった。
最終列車は21日夜に青森駅を発車し、函館駅には定刻より2分遅い22日午前0時44分に到着。カメラを持った乗客らが、青森からけん引してきた電気機関車「ED79」形の前に殺到。通常は1両だが、この日は2両の重連でファンを喜ばせた。函館から引っ張るディーゼル機関車「DD51」形も重連。定刻の同1時23分に札幌へ出発した。
青森市の会社員長内卓哉さん(42)は「出張で何度も使った。札幌で朝早い仕事がある時の移動が不便になるのは残念だ」と惜しんだ。函館駅周辺で写真撮影していた東京都の会社員西岡孝司さん(55)は「全国で新幹線が延伸し、豪華な周遊列車が登場するのは悪くないが、夜行列車は独特の旅の情緒を演出するので消えるのは寂しい」と話した。
JR北海道は22日から青函トンネルなど在来線と新幹線の共用区間(82キロ)の設備を新幹線用に切り替える作業を開始し、新幹線開業に備える。在来線として旅客列車が走行した28年の歴史に幕を閉じ、26日からはトンネル本来の目的であった新幹線が駆け抜ける。
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