震災5年 函館市対応着々

update 2016/3/11 10:16


 東日本大震災から11日で5年。津波による甚大な被害を受けた函館市は、防災行政無線や避難路などの整備に着手したほか、津波避難計画、津波ハザードマップの作成を進め、ハード・ソフト両面での津波対策に取り組んでいる。5年の月日が経過し、震災の教訓を忘れぬよう、引き続き防災体制の強化と市民への注意喚起が求められる。

 市総務部内の東日本大震災被災者支援本部によると、震災による市への避難者は9日現在、67世帯154人(岩手県7世帯12人、宮城県17世帯33人、福島県36世帯89人、その他7世帯20人)。最も多かった2011年12月の91世帯226人からは72人減っているが、親戚を通じた移住など把握していないケースも考えられる。

 市は自主避難者への公営住宅の入居支援や13年度から3カ年かけ、津波浸水が予測される旧市内に防災行政無線計83基を設置。各自治体が活用する全国瞬時警報システム(Jアラート)と連動させ、津波警報発令などの際に情報伝達ができる。初年度は浸水被害の大きかった函館港側、14年度大森浜側、本年度は桔梗町から若松町までの内陸部に据え付け、不測の事態に備える。

 東部4地域では、避難計画で示された高台などの一時避難適地19カ所のうち、14カ所に通じる避難経路の整備を実施。太陽光発電によるLED照明や手すりの設置などで、13、14の2カ年で完了した。

 市民周知に関し、浸水深などを表記した津波ハザードマップと、大災害時の自助に役立てる防災ハンドブックを13年に作成、全戸配布している。このほか海抜表示を市内350カ所に取り付け、12年から各関係機関が一堂に会する従来型の訓練と、津波に着目した住民参加型の訓練を分けて行っている。

 また、市は災害時の救護活動や生活物資供給などに関する協定を多数締結。震災後に締結したのが、民間企業・団体間が23件、自衛隊などの防災関係機関1件、自治体間で3件となっており、避難所生活や復興に向けた実情を踏まえ、官民一体での防災体制の充実に努める。

 震災発生5年目を迎え、津波対策に関する設備整備を完了した市は、大規模災害時に行政が優先的に実施すべき業務をまとめた「業務継続計画」を新年度内に策定する方針。現在の住民参加型の訓練を東部4地域まで広げ、旧市内と連携した避難体制の構築に取り組む予定だ。同部防災担当は「月日とともに震災が風化されないよう職員一同意識し、継続的に市民への注意喚起を行う必要がある」とする。

提供 - 函館新聞社

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