大粒で多収のイチゴ新品種、道総研開発
update 2016/2/28 10:17
道総研花・野菜技術センター(滝川市)は、春どり栽培向け多収性イチゴの新品種「空知35号」を開発した。消費者に好まれる大果で、農家には商品にならない小果の収穫作業が省けるメリットがある。北斗市で栽培される春どりイチゴの大半を占める「けんたろう」に置き換わる品種として期待が大きい。
けんたろうは品質の良さから市場評価が高い一方、収量性が不十分であることや、収穫期後半の小玉化を指摘する声がある。
空知35号は、大粒で甘みが強い「あまおう」を母に、けんたろうを父として2009年に交配。その後選抜、育成を進めてきた。
試験では、けんたろうに比べ1粒の重さが1・3倍あるほか、規格内収量が10アール当たり2・2トンと18%増。けんたろうでは3割にとどまっていた単価が良いLサイズ以上が6割を占める。規格内果数はけんたろうと同程度だが、総収穫果数では3割減る。つまり規格外品の収穫が少なくて済むため、作業の省力化につながる。
食味はけんたろうと同等で、日持ちはやや良いことも分かった。けんたろうと同等以上の耐病性を持ち、果形はけんたろうの円すいに対し、短円すい。
2016年度に苗の増殖を始め、2〜3年後に一般栽培が始まる予定。普及見込みは、全道の春どり作付面積の半分に当たる18ヘクタール。北斗の春どりは4ヘクタール(13年)で、道内でもトップクラスだ。
道南農試(北斗)の高濱雅幹研究主任は「消費者は大きなイチゴを好む傾向にある。農家の高齢化が進んでおり、腰をかがめて行う収穫作業を楽にすることが求められていた。北斗でもけんたろうに置き換わって普及すれば」と話している。
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