江差風力発電、経営再建の正念場

update 2005/5/29 13:40

 【江差】江差町の第3セクターで、風力発電事業を行う江差ウインドパワー(社長・濱谷一治江差町長)に、東京電力系のユーラスエナジージャパン(東京)と、日本風力開発(同)の2社が、経営支援を打診している。支援を得るには、風車の欠陥に対するJFE(東京)との補償交渉とともに、発電所の地権者・斐太工務店(名古屋市)との利益配分をめぐる契約が最大の障害だ。問題解決が正念場を迎える今、町は厳しい対応を迫られている。

 町と企業側の接触は昨秋に始まる。経済産業省などの強い働き掛けがあった。ウ社の風力発電(28基)は、自治体が手掛ける事業では国内最大級。「風力に対するイメージを損なう」(町幹部)として、同省も問題の長期化を懸念している。

 企業側は当初、経営権移譲も視野に、今春までに解決を図るよう要望。だが、財政再建など懸案を抱えた町の対応は遅れた。企業側は今秋を期限に提示。事態打開に向け、町は対応を急がれている。

 町は、ウ社が金融機関から借り入れた事業費15億円を債務保証。ウ社が破たんすれば、財政危機の町も「連鎖倒産(財政再建団体転落)だ」(町幹部)。支援交渉は「千載一遇の好機」(町幹部)で「失敗は許されない」(町長支援者)。

 だが、前町長が同工務店との間で締結した、売電利益の50%を4半期ごとに支払うほか、株式の第三者譲渡を禁じた契約が、経営支援を得る上で最大の障害になる。

 同工務店が持つウ社株は5%。対する町は80%を有する。町は、保有株式の比率を無視した利益配分は、商法に反すると判断。契約当事者である前町長らの責任を法的手段で明らかにし、契約の違法性を立証することも検討した。だが、司法機関の介入を招く選択は回避され、選択肢として棚上げの状態にある。

 町は今月、同工務店に対し@発電所用地の賃借料は18年間で8500万円A事業に対するコンサルタント料として3500万円を支払う―ことを提案。契約に基づき、2003年3月にウ社が、同工務店に仮払いした1億2000万円を充当することを申し入れた。だが、同工務店は提案を拒絶。契約見直しに向けた糸口はつかめない状態にある。 

提供 - 函館新聞社



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