江差風力発電問題、懸案解決を条件に民間2社が支援打診

update 2005/5/28 12:09

 【江差】経営問題が浮上している、江差町の第3セクターで、風力発電事業を行う江差ウインドパワー(社長・濱谷一治江差町長)に対して、国内の民間風力発電事業者2社が、経営再建に向けた支援や事業提携を打診していることが27日、分かった。

 東京電力と大手商社・トーメンの共同出資する国内最大手の風力発電事業者・ユーラスエナジージャパン(東京、祓川清社長)と、青森県や千葉県などで、風力発電事業を行っているベンチャー企業・日本風力開発(同、塚脇正幸社長)の2社。濱谷町長が同日、町議会議員協議会で明らかにした。

 企業側は、昨秋から町側と接触。風車の欠陥をめぐる、施工業者のJFE(東京、旧日本鋼管)との損失補償交渉や、発電所の地権者でウ社株を5%保有する斐太工務店(名古屋市、小池一三社長)との利益配分契約の見直しなど、経営上の懸案解決について、今秋までに一定のメドを付けることを条件に掲げ、町側に対応を求めている。

 JFEに対して町側は、将来にわたる減収分を含めると、損害額は15億円以上として、双方の弁護士を通じた交渉を開始。これに対してJFEが提示した補償額は約5億円。今月11日に濱谷町長、飯田隆一町議会議長が上京、直接交渉に臨んだが、交渉は平行線をたどった。

 一方、ウ社は、同工務店との間で、売電収入から諸経費を差し引いた、利益の50%を4半期ごとに支払う契約を締結。発行済み株式の第三者への譲渡を禁じる契約も存在するなど、支援企業の経営参画を実現するに当たり、最大の障害になっている。ウ社株の80%を握る町は「保有株式の比率を無視した利益配分は違法」(町幹部)として、全面見直しを要求しているが、同工務店は強硬な姿勢で拒否している。

 一方、町議会では、同工務店との交渉に絡み、ウ社の利益に反する利益配分契約の実態解明に向け、刑事告発を含む法的手段による解決を求める声も根強い。これに対して濱谷町長は「時間的制約や費用面から必ずしも(ウ社の)経営健全化につながらない」と述べ、現時点では、法的手段を選択する考えがないことを明らかにした。

提供 - 函館新聞社



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