つち音響く北海道新幹線・〈3〉/新駅へのアクセス、在来線利用が有力視

update 2005/5/26 10:00

 新函館駅(仮称)が建設される大野町の渡島大野駅と函館駅を結ぶ在来線(JR函館線)の区間は17・9キロ。新幹線から降りた観光客やビジネス客を、いかにしてスムーズに函館駅へ運ぶか。開業を見据えた上で大きな課題の一つだ。

 これまでに挙がった主なアクセス方法は、〈1〉新幹線フル規格によるレールの敷設〈2〉在来線にレールを1本増やすミニ新幹線方式〈3〉在来線による連絡列車の運行―の3種類。

 有力視されるのは在来線を使った連絡列車の運行。JR北海道の坂本真一会長は「新函館駅で新幹線と連絡列車を結びたいと考えている」と話し、在来線利用を示唆している。

 注目されるのは、いわゆる「新八代方式」。昨年3月に暫定開業した九州新幹線の新八代駅で採用されている手法だ。新幹線と連絡列車が同じホームを利用し、ドアからドアへの乗り継ぎを可能にした。新函館駅でも、この方式が採用される可能性が高い。

 ただ、札幌方面については、単線区間の存在など、問題点がある。坂本会長は「やはり、スーパー北斗との連絡が望ましいが、これからの課題」と述べ、具体策は今後、協議していく。

 函館空港とのアクセスも重要なポイントになる。市企画部は「道央や道東から空路で函館入りし、新幹線で本州へ。東北方面から新幹線で来道し、空港から道内観光へ。これらの流れには欠かせない道筋となる」と強調する。

 空路と新幹線を合わせて利用する人のすべてが道南地域に滞在するとは限らない。しかし、魅力を高めていくことによって「新規客の開拓にもつながる」(同部)と受け止めている。

 必要となるのは函館インターチェンジ(IC)から函館空港へと延びる「函館新外環状道路」の建設。開通すれば、函館新道経由で新函館駅―函館空港間の移動時間が大幅に短縮される。

 北側一雄国土交通相は20日、「新幹線開通までに、函館新外環状道路を完成させたい」と明言した。加えて、道外客に人気の洞爺湖方面へのアクセス確保となる「道縦貫道」国縫―七飯(仮称)の建設も、「速度を上げて取り組みたい」と前向きな発言をしている。

 基幹道路の建設に明るい兆しが見える一方、これらと新函館駅を結ぶ道路網についての議論は、ほぼ白紙のままだ。

 函館と上磯、七飯、大野の4市町は24日、新函館駅を核にした道路ネットワークづくりを進めるため、新たな委員会を立ち上げることで合意。国や道への要望に向け、ようやく議論の入り口にたどり着いたが、意見の取りまとめには相当な時間がかかるとみられる。

 着工という悲願を達成した地元にとって、アクセス網の整備は再び越えなければならない峠だ。その充実度は新幹線効果を最大限に引き出す鍵となる。開業の日まで、地域にどれだけ綿密な網の目を広げることができるか。道南地域再生への試金石でもある。

提供 - 函館新聞社



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