道路整備促進の声高まる/新幹線着工控え桧山南部
update 2005/5/19 10:25
【江差】北海道新幹線の新青森―新函館間着工を22日に控え、桧山南部では、存続が危ぶまれるJR江差線(木古内―江差駅間)の廃止を視野に、大野・木古内両町に建設される新駅とを結ぶ、道路整備の促進を求める声が高まっている。
新幹線開業に伴いJR江差線のうち、五稜郭―木古内駅間は、並行在来線としてJR北海道から経営分離される見通し。だが、木古内―江差駅間は含まれず、利用低迷に伴う存廃問題が持ち上がっている。
これに対して桧山南部では、管内と大野町を結ぶ国道227号、上ノ国町を経て木古内町に至る、道道江差木古内線の整備促進を求める声が強まっている。経済界も本州へのアクセス向上、交流人口の増加に熱い視線を注ぐ。
「早く国道を整備しなければ、開業に乗り遅れる」。大野町に近い厚沢部町と乙部町では、国道改良による中山峠の走行時間短縮を求める声が強い。北部を含む管内各町と連携し、国にトンネル建設などを求める、期成会設立に向けた動きも浮上している。
JR線の6駅を抱える、上ノ国町の工藤昇町長は「二者択一を迫られれば道路を選択せざるを得ない」と、バス転換を前提に、道道の整備促進を訴える。同線は幅員が狭く、大型車の通行に支障があり「道路機能を果たす上で整備が欠かせない」(町幹部)。14日に江差入りした高橋はるみ道知事も、JR線存廃問題とは別に「できる限り早く整備する」と言明。アクセス改善に期待が膨らむ。
JR線の終点・江差町では、議会サイドが「廃止やむなしの情勢だが、大野・木古内のどちらに軸足を置くべきか、住民議論も含めて町が決断すべきだ」(飯田隆一議長)、「バス転換も視野にJRとの条件闘争が必要」(大谷健議員)と、問題を提起している。
一方、新幹線建設をめぐり、ある町の幹部は「新しい人の流れが渡島・桧山の距離感を縮める」と話し、将来的な自治体再編の起爆剤となる可能性を示唆。だが、ある町長は「人口流出が加速する。新幹線はもろ刃の剣」と懸念する。
新幹線建設は、桧山管内の自治体に大きな地殻変動をもたらす可能性をはらんでいると言えそうだ。
提供 - 函館新聞社
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