連載企画「動き出す8校連携」4

update 2005/5/3 10:15

  函館大学長・小笠原愈氏

 ――「函館総合大学構想」を進めてきた背景は。

 道南に住む高校生の地元高等教育機関への進学希望率は、約20%と極端に低いのが実態です。群雄割拠の激戦区でありながら、ほとんどの生徒がほかの町に出て行きます。理由は簡単で、函館の高等教育機関は“魅力がない”から。この厳しい現実を突きつけられ、各校が危機意識を持ったのです。

 ――函館大学にとっての利点は。

 魅力ある大学となるために、何をすべきかを意識し、地域ニーズに応えることが重要な点だと、気付くきっかけになりました。その答えの一つが4月の新学科「英語国際ビジネス学科」設立。国際観光都市・函館にとり、英語を使いこなせる即戦力が、欠かせないのは明らかでした。

 さらに、1―4年生を一貫して指導する「専攻塾」にも2コースを新設。福祉施設のマネジメントなどを学び、訪問介護員の資格取得を目指す「福祉ビジネス」や、中小企業の後継者を中心に、経営者を育成する「企業家養成」を設けました。

 函館で今、求められる学問をそろえた効果はてきめんで、ことしの入学生は、道南出身者が倍増。約50%まで伸びました。

 ――他校との連携による効果は。

 各校が補完し合えるのは魅力。互いの専門性を生かせば、教育効果も増します。現在、函大から教授を4校に10人派遣し、3校から4人受け入れていますが、今後はさらに増えていくでしょう。。

 研究では、他校との共同プロジェクトを立ち上げたいですね。函大の専門はマーケティング。技術系の学校と組めば、しっかりとした商品開発も可能となり、地元での産業創出にもつながるでしょう。そういう交流が深まることを期待しています。

 ――これからの課題は。

 各校には個性や伝統があります。横並びにならず、それぞれの良さを引き出すことを最優先に考えていきたいですね。パンフレットの共同製作など、総務的なコスト削減の議論に終始したくはありません。函館での高等教育機関を在り方を、大局的に模索できることを願っています。

提供 - 函館新聞社



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