連載企画「動き出す8校連携」2/公立はこだて未来大学長・中島秀之氏

update 2005/5/1 14:01

 ――函館の教育的土壌をどう受け止めていますか。

 函館の高等教育機関は、すでに一定の連携が図られていると感じています。そういう風土があるなら、さらに関係を強化し、持っている資源を互いに共有し合い、効率的に使うべきです。教育をはじめ、産学連携でも函館圏は広すぎず狭すぎず、最適の規模だと思います。

 ――連携による全体的なメリットは。

 分野の異なる8校がそろえば、互いの得意分野を生かし、総合大学のような機能を果たすことができます。例えば、わが校には教養科目の講師がほとんどいないので、非常勤講師を頼むことになります。しかし、連携により公式に講師を派遣してもらうことで、効率が良くなります。

 また、他大学で受講できるようになれば、それぞれの学校が得意とする分野をしっかりと学べるので、学生の知識の厚みが増すでしょう。

 ――どのような効果を想定していますか。

 工学系ということで、最も分野が近い函館工業高等専門学校との連携に注目しています。高専の専攻科を修了した人を対象に、未来大大学院への推薦入学制度を設立したい。他校で教育を受けた人と机を並べることは、わが校にとって大いに刺激となり、学生にも好影響を与えるでしょう。

 高専だけに限らず、北大水産学部や道教育大函館校など、異なる分野で学んだ人が情報学を学ぶことも歓迎します。アメリカでは複数の分野の学士を持つ人が大いに活躍しています。

 ――今後、期待していることは。

 教養分野を皮切りに、今までは教員中心だった交流が、学生同士にも広がります。また、留学生の交換も進めたい。ただ、外国人留学生の受け入れ体制整備が課題になるため、日本人学生と留学生が交流できる寄宿舎の設置を市に要請したいです。

 ――連携事業の最終的な目的は。

 函館が知的なまちになり、よその都市から勉強のために函館に来てくれる人を増やすことです。われわれ高等教育機関には地域の知的資源を活性化する使命があります。連携は函館全体の知的レベルの底上げにつながる環境作りへの足がかりになると考えています。

提供 - 函館新聞社



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