「志海苔中世遺構出土銭」の一部保存修理完了

update 2005/4/29 12:56

 函館市教委が進めてきた国の重要文化財「北海道志海苔(しのり)中世遺構出土銭」の保存修理が一部完了し、市立函館博物館に返還された。国の補助を受けて2004年度から5カ年で行われる保存整備事業の初回。大口かめの継ぎ目を目立たなくし、出土銭の表面を樹脂で皮膜処理するなどの“化粧直し”を済ませた。佐野孝治館長は「今年中に保存修理された出土銭を一般公開したい」と話している。

 保存修理されたのは「2号がめ」と呼ばれる越前焼の大口かめ1個と出土銭の一部6万6000枚。2号がめは口径63センチ、胴径85センチ、高さ(器高)85センチ。一度解体後、特殊な技術で組み直され、破片の継ぎ目がほとんど目立たないほど完成時に近い姿に整備された。

 銭は、中国の前漢時代(紀元前175年ごろ)に鋳造されたと推定される「四銖半両(よんしゅはんりょう)」7枚、北宗時代(1004年ごろ)の「景徳元宝(けいとくげんぽう)」約8000枚など31種類。1枚1枚洗浄し、かびなどを落として元の色に戻した後、酸化を防ぐよう樹脂で皮膜処理した。佐野館長は「これで半永久的に保存できるようになった」としている。

 2号がめは昨年12月に返還され、同館で展示されている。銭は、文化庁で1枚ずつ処理状態のチェックを受け、順次返還される。28日までに約3万枚戻った。処理された銭は今後、湿気を防ぐきり箱に入れて収蔵される。

 本年度は9月ごろに、別な大口かめと出土銭が保存修理に出される。最終的には出土銭37万枚とかめ3個が整備される。

提供 - 函館新聞社



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