反日デモ、影響懸念の声少なく
update 2005/4/13 10:02
中国各地で反日デモが続く中、函館の関係者も事態を注視している。ただ、友好団体や経済交流団体からは「残念」との声が聞かれるものの、事態の長期化や交流への阻害要因となるとの見方はないようだ。
衛星放送を通して中国のテレビ番組が流れる、函館日中友好協会の事務局。東出隆司会長(55)は、中国のメディアがデモを一切報道しないことについて「国の意思ではないという主張の表れ」とみる。また「一般論」と断った上で「体制批判ができない中国の人たちは常に不満の対象を国外に向けており、それが日本に向けられたのでは。中国首脳もこれ以上の暴動拡大は国際的にマイナスであることは十分理解している」と語り、問題は長期化しないとみている。
函館華僑総会の見方も同様だ。陳上梅会長(77)は「我々のように戦前からの苦しかった時代を知る者でも、争いはお互いの利益にならないことはよく知っている。国家間であればなおさら。1000年を超える両国の交流の歴史からすれば、今回の事態はかすり傷程度では」と語る。
函館中国経済促進協会(小笠原金悦会長)の今野宮夫事務局長(57)は、「政治と経済は別」と指摘する。「日本と商取引のある中国関係者は、友好的であることが一番と知っている。お互い敵対視はしておらず、今回の一連の騒動が経済交流の阻害になるとは考えにくい」と話す。
函館市は「現時点で市内でトラブルの報告はなく、影響は見られない。事態の早期収束を願うばかり」(国際課)と、推移を見守っている。
背景に中印関係改善
道教育大函館校・田村伊知朗助教授(政治学)の話 「デモの大きな背景に中国とインドの関係改善が挙げられるのでは。中国は、日本と同じく国連安保理の常任理事国入りを目指すインドの姿勢に反対はしていない。両国にはチベット自治区問題などさまざまな懸案があるが、最近、両国首脳が会談するなど関係改善が進んでいる。中印関係に民衆レベルで教科書や靖国問題が加わり、暴動に発展しているのではないか」(高柳 謙、奥山秀俊)
提供 - 函館新聞社
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