函館在住の韓国人、金さん教育大を修了

update 2005/3/22 09:57

 道教育大函館校の大学院修士課程で学んでいる函館在住の韓国人、金美敬(キム・ミキョン)さん(33)が23日、卒業式を迎える。「日本語をもっと勉強したい」と国語教育を専攻し、妊娠、出産、子育てのさなか、修士論文を仕上げた。23日の卒業式では、院生を代表して修了証書を受け取ることになっており、「うれしくて涙が出そう」とその日を心待ちにしている。

 金さんは、韓国の高校、大学で日本語を学んだ後、1997年に来日。東京の日本語学校に通い、結婚と同時に99年函館へ来た。夫の申東●さん(33)は昨年北大水産学部を卒業し、現在は研究員として同大に勤務している。2人の間には、4歳の長男と4カ月の長女がいる。

 日本で生活をするようになって、韓国で習った日本語と実際に使われている日本語との違いに気づいたという金さん。「大学で本物の日本語が勉強したい」と、2003年に同校の門をたたいた。

 それまでの専業主婦生活から一変、日本の若い学生とともに勉強する毎日。古典、漢文、方言などは特に難しく苦労も多かったが、「新しい経験で楽しかった」という。

 修士論文のテーマは「韓国語と日本語の比較研究」。昨年11月に第二子を出産し、論文執筆活動は一時中断せざるを得なかったが、産後1カ月で再開。自宅や学校で辞書を片手に夜中までかかって仕上げた。

 「日本人は受け身をよく使うが、韓国人は直接的な表現が多い。国民性の違いが言葉にも出ている。一つの言葉にいろいろな意味があり、場面によって違うニュアンスがあるのが日本語の魅力でもある」

 昨今の韓国ブームの影響もあり、韓国語や韓国料理の指導などでも忙しい毎日。4月からは「ハングリアン」と題した韓国の交流グループを立ち上げ、韓国語や韓国文化を教える計画もある。韓国で日本語教師の資格を取得済みで、将来的には韓国で日本語指導の仕事に携わりたい考えだが、現在は「函館の若い人に韓国語を教えたい」と張り切っている。

 卒業式には民族衣装のチマチョゴリを着て出席する予定で、「多くの人のサポートがあったからできた。無事に修了できてほっとしている」と笑顔を見せている。

 【注】●は「換」のへんが「火」

提供 - 函館新聞社



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