賃貸住宅の敷金返還などめぐるトラブル、消費生活センターには相談が相次ぐ

update 2005/3/12 13:31

 普通に使ってできた傷や汚れの回復に借り主負担はありません―。間もなく新生活に踏み出す春だが、賃貸住宅の敷金返還や修繕費の請求をめぐるトラブルは依然多く、函館市消費生活センターには相談が相次いでいる。同センターは、国土交通省がまとめた「ガイドライン」の活用などでトラブルを回避するようアドバイスしている。

 「退去時に説明のなかった10万円を超える天井の修繕費を請求されたり、敷金の返還を大家が3カ月たっても履行してくれない―などとさまざまです」。田原勝昭センター長は最近の相談事例を挙げる。「賃貸アパートの退室が増えるこの時期は特に気を付けてほしい」

 道南のある男性は、1年間住んだアパートを退去する際、ハウスクリーニング代として、敷金のほかに29万円を請求された。「きれいに使ったつもりだったし、長期間住んだわけではない」と駆け込んできた。センター相談員は、1998年に建設省(現 国交省)がまとめた「原状回復ガイドライン」を紹介、貸主と再度交渉するように助言した。

 ガイドラインは、部屋の汚れや備品の取り換えについて「通常の生活を送って自然に損耗した部位の原状回復費用は貸主が負担する」と定めた。次の入居者確保のための部屋のリフォーム費用まで借り主に請求してはいけないと明示している。昨年2月には判例などを追加した改訂版が出た。

 「『原状回復』とは、借り主が借りたときの状態に戻すことではありません」(田原センター長)。日照などによる畳や壁紙の変色、家具設置でできたカーペットのへこみなど、経年変化と通常使用での損耗は原則貸主の負担。ペットがつくった傷や、結露を放置したことによるカビなど、注意していれば防ぐことができたと考えられるものは借り主負担という。

 田原センターは「ガイドラインを示して話し合うことで、多くの場合は解決している」とする。退去時のトラブルを防ぐため、入居する際は貸主と立ち会って、日付入りの写真を撮ったり、「契約書にガイドラインに反する『特約』などがないか確認することが大切」としている。

 ガイドラインは、国交省住宅局のホームページでも閲覧できる。

提供 - 函館新聞社



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