衛生施設、財政難で負担額見直し進む
update 2005/2/28 10:45
各自治体から排出される、し尿やごみの処理などを共同で行う広域連合や一部事務組合。新年度から、道南の2組織が、当初決めた処理にかかる経費の負担割合を相次いで変更する。出されたごみやし尿の量に応じて、負担額が変動する仕組みだ。財政難にあえぐ各町の要求が大きくなったため。近隣町同士の連携も、緊縮財政の前にあり方が変わりつつあるようだ。
松前、福島、知内、木古内の4町でつくる渡島西部広域事務組合(管理者・村田駿福島町長)は、消防、衛生2部門のうち、衛生部門のみ負担割合を大幅に変える。25日の定例議会で正式に決定した。
同組合は1972年の発足。以来、し尿と燃やせないごみの処理施設にかかる維持運営費を、人口の数に応じた「人口割」と、同施設に持ち込んだごみなどの量で決まる「実績割」を各50%で定めていた。
この割合に対し、2、3年ほど前から見直しを検討すべきとの声が構成町から挙がり、同組合事務局は他地域の動向を調査。結果、「人口割」を10%に下げた上で全町が定額の「均等割」に改め、実績割を90%に変えることとなった。
加盟町のうち、各世帯に合併浄化槽の取り付けを支援している知内町は、見直しで支払いが減る。新年度のし尿処理負担額は、307万4000円減の2157万4000円となる見通し。
「以前から組合に(見直しの必要を)伝えてきた。町の財政も厳しい。他町の処理費を負担する理由は、町民に説明ができない」と町の担当者は話す。
見直しについて「30年前の取り決めで、現在と状況が違っている。時代の流れに沿ったもの」と、同組合が運営する渡島西部衛生センター(福島町千軒)の森永努センター長は語る。
「ハコ(処理施設)を作ってしまったから、どうしても費用がかかる。いろんな意見のやりとりはあっただろうが、各町で議決も済んでおり、合意を得たものととらえている」と静観の構えだ。
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道南12町でつくる渡島廃棄物処理広域連合(連合長・海老沢順三上磯町長)も新年度から、ごみ処理施設「クリーンおしま」の維持運営費の「均等割」と「実績割」の比率を改める。2カ年で段階的に、ごみの排出量に応じた「実績割」を10%ずつ引き上げ、現行の70%を最終的に90%に引き上げる。
同組合の2005年度総事業費は、約13億8000万円。このうち、約6割を占める8億7000万円が維持運営費で賄われる。加盟町で、最も町の規模の大きい上磯町は、本年度当初で2億4150万円を負担。これが新年度は3億円の大台を超えるという。
町環境保険課の江田信行課長は「発足当初、合議制で決めたこととはいえ、やむを得ない。どこの町も厳しいのはよく理解できる。規模が大きい町が責任を持って負担せざるを得ないのでは」と苦渋の表情を浮かべる。
今後、負担額の増加について「分からないが、可能性はある」(江田課長)。人口減やごみ減量化の流れに伴い、持ち込まれるごみの量が減っても、施設稼働にかかる費用はほぼ変わらないうえ、施設の老朽化による補修工事もあり得るという。
近隣の各町が協力しあい、始まった広域連合や一部事務組合。自治体合併など荒波のなか、あり方が問われている。
提供 - 函館新聞社
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