検証・函館市新年度予算案(6)
update 2005/2/21 10:13
景気回復の兆しが見えない函館経済―。函館市は「喫緊の課題」として、新年度、経済活性化対策に多額の予算を割いた。対策のメーン、商工費の伸び率は、本年度当初比14・9%増で、箱物(施設)建設が計上されている消防費の同78・3%増を除けば、歳出項目でトップ。「企業が元気にならなければ、税収もアップしない」(財務部)。厳しい財政状況の中でも、手厚く配分した。
「景気対策事業」として掲げたのは、市営住宅や福祉・教育施設の改修。零細建設業者を支えるため、3億円を確保した。補助金の都合上、本年度より1億円減額されたが、市の持ち出し分は本年度と同じ6000万円。鍛治、湯の川、美原1の3団地4棟の公営住宅外壁工事(1億8000万円)や、函館深堀小学校のトイレ改修(5700万円)などを実施する。施設の補修は制度上、補助金が得にくく、起債もできない。市としては“自腹”を求められる。「市の家計は苦しいが、公共事業の削減で、建設業は危機的状況。政策的に配慮せねば」(財務部)と話す。
函館企業の大半を占める中小企業には、カンフル剤として、融資枠を大幅に拡大。本年度当初に9億2000万円を上乗せし、83億3200万円を計上した。中でも03、04年度だけの実施予定だった、融資利率の高い特別緊急貸付金を、廃止せずに継続。本年度より7500万円減額しながらも、24億8900万円を盛り込んだ。桜井健治・商工観光部長は「病人(中小企業)に即効性があるのは融資。金融機関の経営が安定したため、特別緊急貸付金の必要性は以前より薄れているが、中小・零細企業の倒産や廃業を防ぐには、いまだ欠かせない」と説明する。
企業誘致には720万円を充てる。目玉は3月、市内に進出するコールセンターへの初助成。家賃など、経費の5分の1(170万円)を5年間負担する。コールセンターは100人以上の大きな雇用効果が期待できるため、地方自治体間で誘致合戦が激化している。「他都市の優遇策に比べると額は少ないが、手をこまねいてはいられない」(桜井部長)という。
函館での不況は、製造業が乏しい産業構造に起因しており、抜本的な改善は容易ではない。永遠のテーマになりつつある経済活性化対策と決別できるのか―。市だけでなく、函館全体の力量が問われている。(おわり)
提供 - 函館新聞社
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