検証・函館市新年度予算(5)
update 2005/2/20 13:33
「地域経済発展のため重点的な配分をした」。井上博司市長が力を込める水産費は、5億5200万円が計上された。二本柱として掲げた新事業は、ガゴメ(トロロコンブの仲間)の増産・養殖と“水産のマチ”としてのあるべき姿を模索する「水産振興計画」の策定。合わせて8200万円を盛り込んだ。
ガゴメはがん治療に期待が集まる「フコイダン」と呼ばれる成分を多量に含むことなどから、価値が見直されている。生育範囲がほぼ道南に限られているが、水揚げ量は大幅に減少している。最盛期(1993年)に年間1500トンの水揚げを誇った南茅部地域でさえ、昨年は8・6トンに激減した。
こうした実態を受け、市は“新・函館市”を代表する水産物としての期待を込め、6100万円を投入して全域での増産に取り組む。このうち、南茅部地域では、海中で胞子を出す母藻(ぼそう)の生育を最重要課題に据え、人口藻場礁を海中に設置する。
また、生態に未解明の部分も多く、800万円をかけて養殖技術の確立を目指す。さまざまな方法を試し、それぞれの海域や漁法に合った手法を模索。各漁協に委託し、06年夏までには一定の結果が出される見通しだ。
1200万円をかけて取り組む水産振興計画の策定は、三方を海に囲まれた都市にふさわしい漁業振興政策の在り方を定める。漁協や流通業者、学識経験者などでつくる検討委員会で協議する予定で、「コンブのブランド名の扱いなどもテーマになる見通し」(農林水産部)。05―06年度で策定し、07年度からの実施を目指す。
「国や都道府県レベルで同種の計画策定は当たり前だが、市町村での策定は全国でもまれ」(同部)という。
また、旧4町村地域で取り組んでいた事業はほぼそのまま継続し、舟揚場の整備や水産物の流通設備の充実にも努める。さらに、函館市にのみあった漁業用機械等購入資金貸付金制度は、04年度(2300万円)の4倍以上に上る1億円を計上した。
新・函館市がまちづくりを進める上でのキーワードは「海」。道内屈指の水産都市となったいま、漁協を中心とした水産業界全体をいかにまとめ、振興につなげるかは大きな課題だ。市のリーダーシップが期待される。
提供 - 函館新聞社
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