検証・函館市新年度予算案(4)観光振興策

update 2005/2/19 10:19

 「観光が基幹産業であることを、数字で示していただいた」。2005年度予算案を手に桜井健治・商工観光部長は話す。苦しい財政事情の中、観光費は前年度当初に比べて11・5%増と大幅に伸びた。総額は3445万円増の3億3354万円。「3億円の大台を超えたのは初めて」という。

 戸井、恵山、椴法華、南茅部の東部4町村との合併後、初めて編成した予算案は「(旧4町村との)一体感の醸成に配慮した」(井上博司市長)。その思いは観光振興策にも反映している。4地域の資源を生かした、広域観光圏の形成に向けた取り組みが進められる。

 4支所に2基ずつ、観光ルート案内板を設ける。市全域の公共施設と観光施設を紹介しつつ、旧函館市と旧4町村を車で周遊するためのルートを記した案内板だ。設置場所などは未定。2400万円を計上した。

 観光ポスターも4地域の特色を前面に出す。67万円の予算を付けた。合併前は「通年」「冬季」の2版あり、5500枚ずつ用意していたが、新年度はそれらに加えて、4地域の魅力をうたうポスター2000枚を作製する計画だ。

 旧市の観光振興策も数多くある。なかでも、「函館の夜景」に磨きをかける。効果的なライトアップ方法などを調べた「夜景診断」が本年度終わり、新年度は「ひかりのまち」の整備に向けた計画を策定する。700万円を計上。新年度に立てた計画は06年度に着手する予定という。

 落ち込む冬季観光客の誘致にも力を注ぐ。東京渋谷区にある「渋谷109―2ビル」の壁面に、函館の冬の一大イベント「はこだてクリスマスファンタジー」の巨大広告(縦12メートル、横8・3メートル)を掲げ、冬の函館をPRする。11月に2週間掲示する予定で、945万円を盛り込んだ。

 「将来のリピーターとなる存在」(桜井部長)と修学旅行誘致に130万円を計上した。春と秋の年2回、道内や東北などの小中学校を、市職員が訪問し、函館の魅力を売り込む。これまでは、函館を紹介するDVDを各校に配布していたが、「直接学校を回り、積極的な誘致を図りたい」(同部)とする。

 ソフト、ハード両面にわたり政策を盛り込んだが、肝心なのは付いた予算をいかに生かすかだ。4地域の名所が加わった「観光都市・函館」の新たな歩みが注目される。

提供 - 函館新聞社



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