検証・函館市新年度予算案(2)

update 2005/2/16 11:03

 ・子育て支援

 新年度予算案の特色の一つとして、井上博司市長は子育て支援を含む、地域福祉の充実を挙げた。女性が一生で生む子どもの数の平均を示す市の合計特殊出生率は2003年のデータで1・13。全国の1・29、全道の1・20をともに下回る低い水準で、市にとって育児支援の充実は緊急の課題の一つだ。

 民間保育園への運営費補給金は、園児の数に応じた人件費や研修費のほかに、環境整備分として、各園30万円ずつ上乗せをする。絵本や遊具などの購入向けの新たな助成で、保育の質向上に役立ててもらう考え。予算額は本年度当初比19・1%増の9276万円とした。

 井上市長は増額について、公立保育園の民営化に伴う経費節減によるものではないと説明。今後は、どの時点で効果額を民間保育園へ配分できるかに注目が集まる。

 資格取得にかかる費用のうち、就学期間の3分の1を補助する母子世帯の自立支援給付金支給事業は、正看護師、介護福祉士など、対象5講座に、准看護師を加える。以前から要望が多く、制度利用の伸びが見込まれ、同230・2%増の1023万円を計上した。

 これら予算の狙いについて、福祉部は「民間保育園の底上げは市の保育全般の充実につながる上、地域の子育て拠点として、自宅で育児をする保護者の支援にもなる。また、対象講座の拡大は地域ニーズを反映している」と話す。

 一方、市教委も、女性の社会進出に合わせ、利用者が増え続ける学童保育所について、公設民営を柱に、増設する方針を示している。皮切りとなった東小学校の空き教室利用は03年度にスタート。今回は改修費として、400万円を盛り込んだ。

 既存の空き教室にはなかった設備を加え、学童保育所としての機能を高める。具体的には専用玄関や給食用の台所、校舎との仕切りとなるシャッターなどを造る。

 同教委は小学校の校区に原則1カ所ずつ、学童保育所を設けることを目標としているが、依然として10校区以上が未設置となっている。同生涯学習部は「建物を新設するより、既存施設の利用は放課後児童の利便性、予算面からも現実的」と今回の改修工事をモデルケースとして重視する。

 これらの事業費が予算に占める割合はわずかだが、市にとっては大きな選択だったに違いない。財政が苦しい状況の中、安心して子育てができる環境づくりに向け、市は今後、さらに厳しい判断を迫られる。

提供 - 函館新聞社



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