市長「水産業の振興に力」/合併後初の予算、経済活性、福祉に重点

update 2005/2/11 13:08

 「合併して良かったと思われる予算を組んだつもりです」。胸を張って、とまではいかないが、井上博司市長は予算発表の記者会見で納得した表情を見せた。

 合併後、初の予算編成。特に重視した点に(1)地域経済の活性化(2)少子高齢社会における教育・福祉の充実―の2点を挙げた。

 (1)の具体策は水産振興。合併した旧4町村の基幹産業の充実を目指し、ガゴメ(トロロコンブの仲間)の増産対策や漁業用機械等購入資金貸付金の増額など、新規分と制度拡充分だけで1億5500万円を盛り込んだ。井上市長は「水産業の振興は特に力を入れた」と言い切る。

 もう一つは公共事業の確保。「前年度より減ったが、減り幅を最小限にとどめた」(井上市長)とし、約190億円を計上した。

 (2)は保育所運営費補給金の増額、私立学校運営助成費の増額など。教育の充実と地域福祉の向上が目的で、地域福祉施策の新規分と制度拡充分は3億9700万円に上る。「人づくり、文化都市実現に向けた施策を展開する」と井上市長。

 こうした事業実施に向けて生じた財源不足は、財政健全化債の適用分を含めると、約30億円に上る。合併前の市の分は約18億円、旧4町村分は約12億円。一般会計が1200億円を超す市と、それぞれ50億円に届かない旧4町村の予算規模を考えると、旧4町村の財政難がいかに深刻だったかがうかがえる。

 図書館建設、函館駅前土地区画整理事業といった大型事業が2005年度までに完了するのが救いだが、基金は減少傾向にある。財政運営は今後、さらに厳しくなる。

 井上市長は「4支所を含めた行財政改革に尽きる」と、引き続き行財政改革を断行する姿勢を示す。「合併して良かった」と言われ続けるために、道内第1号の合併をまとめた市長が、どんな手腕を発揮するか―。(吉良 敦)

提供 - 函館新聞社



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