花田さんに音楽鑑賞教育振興論文・作文募集実践奨励の部奨励賞
update 2005/2/11 13:06
函館養護学校の訪問教育講師、花田正子さん(53)=江差町在住=が、第37回音楽鑑賞教育振興論文・作文募集(音楽鑑賞教育振興会主催)の実践奨励の部で奨励賞を受賞した。5年間にわたる訪問教育活動の実践を通し、「音楽は生きる力」と題して音楽鑑賞教育の体験を作文にまとめ、評価を受けた。
花田さんは、道教育大函館校中学校課程音楽科を卒業後、道南の小中学校に勤務。その後、18年間の専業主婦生活を経て、2000年度から同校訪問教育講師を務めている。
同校は、肢体不自由児を対象としており、訪問教育講師は通学が困難な児童・生徒のため、家庭を訪問して教育を行う。花田さんは、江差町に住む中学2年生の佐藤繁君(14)を担当。週3日2時間ずつ、佐藤君の自宅を訪れている。
佐藤君は、寝たきりで話すことができないが、聴覚が敏感で音楽が大好き。花田さんが持参するCDやテープに関心を示し、ピアノ曲など好きな曲が流れると、ニコニコと笑い、手足を動かし、声を出すなどして、身体全体で喜びを表現するという。
訪問教育2時間のうち、音楽鑑賞は20分程度。そのほか、簡単な体操や本の読み聞かせなども行っているが、この5年間で佐藤君に聴かせた曲は200曲以上。CDなどを流すほか、花田さん自身が歌ったり、キーボードなどで演奏して聴かせることもある。
花田さんは今回、佐藤君との出会いから現在にいたるかかわりを作文にまとめて応募。教科書にある鑑賞教材曲はもちろん、オーケストラ曲、バイオリン曲、オペラのアリアなど、さまざまな音楽を聴かせ続けた結果、「曲の持つ特徴や楽器の音色、主題の再現部や転調などに気づいて聴いている様子を表情から読み取ることができる」などと、佐藤君の変化や成長に触れている。
また、作文の最後では「音楽を通して大きなコミュニケーションを持つことができた。同じような障害を持つ多くの子供たちが、音楽を聴く喜びと出合ってほしい」とつづっている。
実践奨励の部は、現役の小中学校教員を対象に新設された。今回、全国各地11人から応募があり、全員が入選となった。
花田さんは「音楽の力を実感している。訪問教育の活動はあまり知られていないので、認めてもらってうれしい」と話している。
提供 - 函館新聞社
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