インサイド―JALの路線変更、大阪からの入り込み減必至
update 2005/1/30 13:50
航空大手2社の新年度事業計画が出そろい、函館空港を結ぶ路線で、新たな不安材料が浮上した。日本航空(JAL)が大阪への路線を伊丹空港から、アクセスに難がある関西空港に振り替え、機材も270人乗りから150人乗りに縮小。メーンの羽田線で全日本空輸(ANA)と北海道国際航空(エア・ドゥ)のコードシェア(共同運航)に伴う座席数減への懸念は払しょくされたが、大阪からの入り込み減は避けられない情勢。地元の航空関係者は頭を痛めている。
大阪(関西・伊丹)線は、ANAとJALのダブルトラック(2社運航)。ANAが関西、JALが伊丹を1日1往復運航する。2004年の利用状況は両社の合計で前年比8・8%減の26万5000人。羽田線の141万9200人には及ばないが、函館では2番目に利用客が多い路線だ。
内訳は、ANAが14万100人(搭乗率64・9%)、JALが12万4900人(同78・3%)。ANAは同25・7%減と落ち込んだが、03年12月に関西から伊丹に移ったJALは好調。03年(1―10月)の同社関西線の搭乗率と比較すると、19・8ポイントも上昇した。
大阪の中心部に近い伊丹は、大阪南部沖に浮かぶ関西に比べて利便性が高い。交通機関の運賃、所用時間とともに関西の半分程度で済む。JALにとってはANAとの差別化にもつながっていただけに「本当は飛ばし続けたかった」(JALセールス函館支店)のが本音だ。
変更を余儀なくされた背景には、昨年、国土交通省が打ち出した伊丹の運用見直しがある。見直しには、(1)06年4月からエンジン3基以上のジェット機の運航禁止(2)長距離ジェット機の発着枠制限―などが盛りまれている。函館以外でも札幌、旭川、福島などが関西に路線を変えざるを得なかった。同支店は「函館―伊丹線は現時点では規制の対象外だが、先行き不透明」と変更した理由を説明する。
伊丹は関西が開港する際、廃止される予定だったが、地元の要望で存続。ただ、関西の利用者減を尻目に増加傾向にある。国交省は見直しの理由に、伊丹の騒音軽減を掲げているが、業界内では「関空の救済策」との見方が強い。地元航空関係者は「エアドゥ就航のマイナス効果への不安が消えたと思ったら、今度は国のエゴ。JALが機材を小さくしたのは、需要が見込めない証し。一難去ってまた一難だ」と漏らす。
提供 - 函館新聞社
ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。