南茅部埋文事務所火災で焼損の縄文副葬品復元

update 2005/1/17 11:43

 2002年12月の南茅部埋蔵文化財調査団事務所火災で焼損した、縄文時代早期(約9000年前)に作られたとみられる世界最古とされる漆製品の一部が、本年度内に修復される。道教委などを交えての修復作業で、函館市教委は「今後、被災文化財を修復する上での参考になれば」と話している。

 漆製品は2000年に函館市臼尻町(旧南茅部町)の垣ノ島B遺跡から出土した。漆を染みこませた繊維を編んで作られたとみられる副葬品で、頭や肩などに身につける装飾具6点。

 うち5点は完全に焼失し、左肩部の1点が4つの大きな破片として回収されていた。大きさは、周囲に付着した土部分を含めて長さ40センチ、幅20センチほど。焼失部分は、被災前に作製していたレプリカ用の型に樹脂を流し込み、修復された部分と組み合わせて復元される。

 北海道考古学会から同調査団に寄せられた義援金30万円を活用し、合併前の03年から、旧南茅部町教委と道教委、奈良文化財研究所が共同で分析、修復作業を進めていた。

 昨年度までの分析では、漆製品から採取された赤色顔料が「ベンガラ(ヘマタイト)」であることと、漆成分が残存していることなどが判明。本年度で、糸の構造と漆成分が3層に分かれていることなどが明らかになった。糸の素材は分からず、今後の課題として、分析が続けられる。

 現時点で可能な分析はすべて終了し、本年度中に全体像を修復させる。市教委の阿部千春生涯学習部参事は「火災によって大きな損失があったことは責任を負っていかなければならない」としながら、「修復の技術や体制を含め、今回の経験を生かせるよう資料をまとめられれば」と話している。

提供 - 函館新聞社



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