香雪園園亭の大正末期ごろに撮影したとみられる全景写真見つかる

update 2005/1/13 10:25

 函館市が本年度から復元・整備事業に取り組んでいる旧岩船氏庭園(見晴町、通称・香雪園)にある園亭の全景写真が、このほど見つかった。同市内にあったかっぽう旅館の経営者が、大正末期ごろに撮影したとみられる。園亭のかやぶき屋根を含め、全体像が写っており、市教委は「全景写真が見つかり、当時の姿により近づけられるだろう」と話している。

 市教委によると、全景をはっきり確認できる資料は極めて少ない。復元にあたっては、園亭の一部が写っている古い絵はがきなどを参考にしていた。

 見つかった写真は、戦時中に閉館したかっぽう旅館「加島屋」(湯川町2)を経営していた故加島重蔵さんの長女、三浦静子さん(79)=同町2=が保管していた。1959(昭和34)年に72歳で亡くなった重蔵さんは生前、写真撮影が趣味で、この写真もその1枚という。

 三浦さんが亡父の写真を整理した際、近所の門脇義治さん(65)の写真があり、古い写真をまとめて門脇さんに譲った。門脇さんは、湯の川の歴史や郷土を調べる「湯の川を語る会」の会員で、園亭の写真を見つけ、昨年12月初めに市教委に提供。門脇さんは「古い写真だが保存状態がよく、園亭の全景写真は珍しい」と話している。

 同庭園は、道内有数の呉服商、故岩船峯次郎が1898(明治31)年ごろに別荘地として造成し、大正期までに現在の形となった。2001年に庭園として道内で唯一、国からの名勝指定を受けた。

 市は、国の事業費で09年度までの6カ年で、庭園内の園亭や温室などの建造物を造成当時に復元整備する。本年度は庭園の現況調査を実施し、来年度から園亭の復元工事に取り掛かる予定。

 当時の様子を知る資料はまだ不足しており、同課は「限りなく当時の姿に近づけるために、もっといろいろな資料が必要」と、明治・大正時代の写真などの提供を広く市民に呼びかけている。

 資料提供についての問い合わせは、市教委文化財課TEL0138・21・3472。

提供 - 函館新聞社



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