芸術ホール企画(下)
update 2005/1/13 10:23
「市芸術ホールの今年のコンセプトは、実力のある若手、人気アーティストによる、誰もが楽しめるコンサートの開催」と、同ホール副館長の鹿内正紀さんは紹介する。
現在交渉中の演奏家は、5月が上松美香さん(アルパ=竪型ハープ)、6月に小菅優さん(ピアノ)、7月は奥村愛さん(バイオリン)で、それぞれ22歳、21歳、23歳。若さあふれ、ルックスでも聴衆を楽しませてくれる人気の女性奏者で、華やかなコンサートが期待される。
「上松さんはテレビでも活躍されているアルパ奏者で、全日本アルパコンクールの優勝者。その後本場パラグアイで修業された方です。クラシックに限らない広いジャンルの楽しい演奏会となるでしょう」
「小菅優さんは、スタインウェイピアノコンクール優勝者で、ヨーロッパを舞台に活動され、CDはヨーロッパの音楽雑誌で五つ星に輝くなど高くその実力が認められている演奏家です」
「奥村愛さんは癒し系のバイオリニストとして話題を集めましたが、その後ウィーンに渡り、ウィーンフィルハーモニーオーケストラのライナー・ホーネック氏に師事するなど研さんを積んでおり、より充実した演奏が期待できるでしょう」という。
このほか、チャイコフスキー国際コンクール、チェロ部門3位という実力のチェロ奏者、菅野博文さんが、諏訪内敦子さん(ピアノ)とデュオコンサートを行うという企画も予定されている。敦子さんはバイオリンの諏訪内晶子さんの妹で、知名度も高い。
「ハーモニーホールにチェリストを招くのは初めてで、どんな響きになるか楽しみ」。2005年も函館の音楽ファンにとって実り多い年になるのは間違いないところ。
独立採算性のため、海外大物演奏家によるリサイタルは難しいが、来年は、函館市音楽協会70周年に当たり、海外からトップクラスの人気演奏家を招く計画が進められている。
鹿内さんが始めた音楽を楽しむための環境作りで昨年大きな効果を上げたものに音楽を聴くマナーのチラシ配布がある。多くの演奏家から「函館の聴衆のレベルは高い」と言われるまでになってきた。ギター奏者の村治佳織さんは「ギターのチューニングは、雑音があると大変やりにくいのですが、函館では本当に物音ひとつしない状況で、どこよりもスムーズにできました」と驚いたという。これもあらかじめ配られたチラシの効果であることは明らかである。
一方、鹿内さんは、函館市内の演奏家育成にも情熱を傾ける。
函館市は地方都市としては多数のオーケストラが活動しているが、いずれも弦楽器群のレベル向上が大きな課題。芸術ホール管弦楽団では今年、札幌交響楽団の奏者を招いてコンサート前の演奏技術クリニックを実施する予定。演奏会でも一緒に弾いてもらい、プロの技の伝授と演奏会の充実の両方を実現しようという狙いだ。今年はモーツアルトの生誕250年に当たるので、プログラムもオールモーツアルトにできないか検討中という。
また、地元で活躍している演奏家のリサイタルもシリーズで企画。各種教室の先生や生徒に発表の機会を広げる予定。鹿内さんの夢は「中央から、一流の演奏者に移住していただき、演奏活動の拠点として、また市内音楽家の育成の場として、芸術ホールを活用してもらう」ことだ。
「正夢」になることを祈り、今年のステージを堪能したい。(川端治彦)
提供 - 函館新聞社
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