奥尻便存続問題/4機目導入で難航、HACとの調整ヤマ場迎える

update 2005/1/6 10:08

 函館―奥尻線を運航する全日本空輸グループのエアー北海道(ADK)が同路線撤退を検討し、道が出資する第3セクターの北海道エアシステム(HAC)に路線継続を要請している問題で、道とHACの調整が難航している。3機しか旅客機(いずれも36人乗りプロペラ機「サーブ340B」)を持たないHACは、4機目を購入するか、既存路線の便数を減らして奥尻線に充てなければならず、赤字路線への参入にちゅうちょ。昨年秋に予定されていた結論は年明けに持ち越された。ADKが撤退のめどとするのは2006年3月。準備期間も限られており、1月、交渉はヤマ場を迎えそうだ。

 道は調整が明るみに出た昨年5月、国などの補助を活用し、機体購入費の大半を負担することを条件にHACへ打診。路線維持に伴う赤字補てんについても、ADKに実施した経常損失額の90%を賄うなどの支援策を考えていた。

 補助金で購入した機体は、奥尻線をメーンに運航するのが前提。道交通企画室によると、HACは採算性の高い路線を飛ばす合間に、奥尻線をと想定していたたため、購入費への助成を断ったという。

 ただ、HAC単独で新たな機材購入費を賄えるかは微妙な情勢。また、現在の3機体制で既存路線を減便して奥尻線分を確保すると、現路線の利便性が低下し、搭乗率が著しく落ち込む可能性もあり、判断は容易ではないのが実情だ。

 道もHACの株主とはいえ出資比率は49%で、筆頭株主は51%を持つ日本航空。「できるだけ早く、いい返事をいただきたい」(道交通企画室)と判断を仰がざるを得ない立場だ。関係者の間では「血税で奥尻空港滑走路を延長している中、定期便がなくなれば、なぜ延ばさねばならなかったのかと批判を浴びることは必至。何が何でも、HACに継承させるだろう」という見方が強いが、HACが要請を受け入れる可能性は、百ではない。

 仮に移行しても路線を維持するのは容易でない。現在は19人乗りの双発プロペラ機「DHC―6」で、細々と飛ぶ奥尻島民の“生活路線”だが、2004年1―11月の搭乗率は50%を切っているのが現実。ADKは赤字補てんを受けながら、同年3月期決算で債務超過に陥っている。路線存続を懇願する島民と、赤字に耐えられなく撤退しようとしているADK。この姿を前に、“道民の翼”を掲げるHACがどういう結論を出すのか注視されている。

提供 - 函館新聞社



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