5年ぶり開催の市民ミュージカル、練習に熱

update 2005/1/6 10:07

 函館市民ミュージカルが今年11月3日、函館市民会館大ホールで、5年ぶりに行われる。函館が生んだ喜劇俳優、益田喜頓さん原作の「案山子(かかし)物語」を上演。この作品は1994年3月に一度発表しているが、今年は益田さんの13回忌に当たることから、「ぜひとも供養に」と市内の劇団関係者やダンス指導者らが実行委員会(杉野一博委員長)を立ち上げ再演することになった。11年の歳月を経て、グレードアップした案山子物語が再び見られそうだ。

 市民ミュージカルはこれまで6度開催している。いずれも市民が書き下ろしたオリジナル作品で、キャストや裏方もすべて市民のボランティアで成り立っている。

 出演者を公募し、オーディションをして配役を決めていく。舞台監督をはじめ運営スタッフは市内で活躍する経験豊かな人たちだが、出演者のほとんどは演劇経験の浅いアマチュア。演技や歌、踊りはゼロからのスタートと言っても過言ではない。試行錯誤を繰り返しながらひとつの舞台を完成させてき、当然、苦労もつきまとう。だが、その苦労を乗り越えたスタッフやキャストの姿が大勢の観客に感動を与える。

 案山子物語は、大野町に広がる田園風景に立つ主人公のかかし「ペコ」が、風に乗って世界各国を旅する。ペコは旅先でさまざまな人と出会い、その都度ドラマが展開されていく。前回の公演では、益田さんは自ら描いた筋書きに一役者として出演する予定だった。しかし、3カ月前に永眠し、その思いは果たせなかった。残った現場のスタッフ、役者たちが益田さんの遺志を継いで舞台をつくり、熱演した。

 この作品は道文化振興条例制定記念の招待公演に選ばれ、札幌JRシアターで上演されることとなり、函館、道南以外でも好評を得た。

 2005年版案山子物語の公演準備は着々と進んでいる。昨年10月に出演者を公募、同12月からはレッスンがスタート。小学2年生から、学生、社会人まで約40人のキャスト候補者が週3回、ダンスや芝居、歌などの基礎の体得に励んでいる。3月には、オーディションを実施して配役を決める方針。

 本番まで10カ月を切った。「感動を分かちあえる舞台を」と杉野委員長をはじめスタッフたちは成功を誓っている。

提供 - 函館新聞社



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