活スルメイカをパック詰めにした状態で56時間生かすことに成功…輸送実験も

update 2004/12/24 14:49

 道立工業技術センターの吉野博之・機械電子技術科科長の研究チームが、長時間生きた状態を保つのが難しいとされるスルメイカを、パック詰めにした状態で56時間生かすことに成功した。特殊処理した海水と、同量の酸素を充てんしたパックの中に、1匹ずつイカを放すことで、生きを保つ。東京、札幌方面への輸送実験も開始し、宅配便での配達も視野に入れ、2005年度中の実用化を目指している。函館の新鮮な“朝イカ”が、全国の食卓に並ぶ日も近そうだ。

 同チームによると、生きたイカの輸送には、大型水槽を搭載した「活魚輸送車」が使われていた。しかし、イカ同士が墨を吐き合い、水質が悪化し、死んでしまうなどの問題点があった。

 1匹ずつパックする方法は、一部の業者で利用されているが、スルメイカはヤリイカなどほかの種類に比べて、生存する時間が短い。このため、首都圏など長時間の輸送には耐えられなかった。

 同チームはこれまでの研究で、海水の二酸化炭素濃度や酸性度の上昇が、死亡までの時間に影響することを突き止め、海水や酸素の成分を変えての実験を繰り返していた。

 56時間生存できたのは、特殊な処理を施して成分を変えた海水3リットル「と、同量の酸素を注入した密閉パックに入れ、イカの酸素消費量が最も少なくなる5度で保管した場合。その後の追加実験では、8割以上の割合で、48時間生かすことに成功。実際の輸送実験に踏み切った。

 輸送実験は、札幌、東京へ、これまでに2回実施している。今後数回繰り返し、輸送中の海水温や箱内外の温度変化などのデータを集める。吉野科長は「生存時間は、イカが釣られたときのダメージに影響されるが、来年夏までには実用化のめどをつけたい」と意気込んでいる。

 研究は5年前に吉野科長が始め、2003年度からは文部科学省の呼びかけで始まった「都市エリア産学官連携促進事業」として、北大大学院水産科学研究科などと協力して継続。2005年度中の実用化を目指している。

提供 - 函館新聞社



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