大門火災・地域全体に危機感
update 2004/12/21 10:24
20日未明に函館市若松町の商店街を襲った火災で、眠ったばかりの繁華街「大門」は一面火の海と化した。ごう音を上げて次々に建物へ燃え移る火の粉に、集まったやじ馬らもぼうぜん。古くからの商店が多いだけに、商店街は瞬く間に炎に飲み込まれた。年の瀬を迎えたJR函館駅前の悲劇に、関係者のショックは大きく、早期復興に望みを託している。
一部を焼いたそば店2階に住む大山紘生さん(27)は出火当時、部屋で就寝中。「裏の空き店舗の方向から『パン、パン』という爆発音が10回ほど聞こえた」。驚いて窓を開けると、燃え広がる様子が目の前に広がり、慌てて父信義さん(62)をたたき起こし、表へ逃げだした。
火は南東の方向への強風に乗って、じわじわと燃え広がり、現場近くのホテル第2オーシャンは宿泊客を1階ロビーに緊急避難。奥尻町の幼稚園教諭、大山広美さん(39)は「ホテルの方に燃え移らないか不安」と顔をこわばらせた。
延焼は電車通りに面したアーケード街にも及び、100人を超すやじ馬で函館駅前周辺は騒然。消防隊員の必死の放水にも、炎の勢いはビル6階の高さまで上昇し、外壁などが「バリバリ」と音を立てて、崩れ落ちた。
事態を見守っていた近くの男性店主は「大門は最近、不審火が多い。悪質な付け火ではないか」。都心の空を真っ赤に染め、マチのど真ん中を黒こげにした。
早朝にはほぼ鎮火したものの、函館市電は始発から4本が湯の川―松風町間で折り返し運転。国道278号は午前9時半まで通行止めになり、終日渋滞を引き起こした。現場向かいの棒二森屋は通常通り営業したが、1階婦人服店の商品が煙でにおいがついたため休業。和光デパートは停電で開店を1時間遅らせた。
「年越しそばで、これから一番の書き入れ時なのに、非常に残念でならない」―。そば店を経営する信義さんはがっくりと肩を落とす。近くの居酒屋店主は「大門地区は景気が良くないので、この火事でまた落ち込むのでは」と不安げに話し、地域全体に危機感も広がっている。
一方で、棒二森屋は「年の瀬に向けてショック。都心の基幹店として、応援していきたい」、和光デパートは「せっかく新幹線で盛り上がっているのに、めげていられない。大門が力を合わせて頑張ろう」と早期復興に躍起だ。函館都心商店街振興組合の渡辺良三理事長は「支援を求められれば、市など公的機関に金融支援を要請し、仮店舗も紹介したい」と、被災者への協力を約束した。
提供 - 函館新聞社
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