来年度、道新幹線が着工
update 2004/12/11 12:51
整備新幹線の新規着工問題に関する政府・与党の作業部会は10日、北海道新幹線「新青森―新函館」など3線3区間を、2005年度に同時着工することを了承した。誘致活動に取り組んできた高橋はるみ知事と井上博司函館市長は「道民の長年の悲願」「地域の大悲願」と歓迎の声を上げた。ただ、開業に伴う経済波及効果もある一方、建設費の地元負担や並行在来線の経営分離など沿線自治体が背負う課題も山積している。地域を挙げた運動はこれから「真の重要局面」を迎える。
■経済波及効果
国土交通省が11月下旬に示した試算によると、道新幹線が函館まで開業した場合、経済波及効果は開業50年間の累積で約1兆2970億円。道経済連合会が野村総合研究所(東京)に委託した調査では、年間で本州を含めて約361億円(道内分約120億円)の効果がある。
新函館―東京間の運行時間は3時間40分(最高速度300キロを想定)で結ばれる。野村総研の調査では、青函間の鉄道利用客数は1日あたり9500人と現在の2・5倍に増えるという。
政府・与党の作業部会はこれまで、道新幹線の開業でJR北海道の収支改善効果が年平均45億円と見込まれる上、投資効果が経済波及分で3・7倍と、来年度着工が決まった3線で最高との評価を与えている。
■建設費
整備新幹線の建設費は国が3分の2を、都道府県が残りを負担する。新函館―新青森間の総工費約5000億円のうち、地元負担は約1667億円となり、道は約957億円(残りは青森県)の財政負担を求められる。
一部の沿線自治体でも新たな財政負担が発生する。全国新幹線鉄道整備法では、道は利益を受ける市町村に建設費の一部を負担させることができる。そのため、用途地区のある大野町と木古内町は建設費の負担を求められる見通しだ。
木古内町によると、駅ができる同町の建設事業費は、99年に運輸省(当時)が示した試算では約193億円。道の負担分約64億円のうち、10分の1にあたる約6億円の負担を、昨年11月に道新幹線対策室から示された。大野町もほぼ同額の負担という。両町とも「財源確保が大変」と、基金積み立てなどの方策を考えている。
■並行在来線
並行在来線のJR江差線の存続問題がまず浮上する。
JR北海道は、道新幹線の開通後に江差線の五稜郭―江差間(約80キロ)の経営分離を表明している。貨物列車の運行に欠かせない五稜郭―江差間(約38キロ)は第3セクターなどにより存続の可能性があるが、利用者が少ない木古内―江差間(約42キロ)は廃止の公算が大きい。
道は来春にも、函館市など沿線自治体と協議する考え。ただ、先進事例をみると、結論が出るのは開業の数年前になるという。
提供 - 函館新聞社
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