インサイド/未焼却ごみに苦慮する広域連合

update 2004/12/8 10:14

 12町が共同でごみ処理にあたる、渡島廃棄物処理広域連合(連合長・海老澤順三上磯町長)が、未焼却のごみに苦悩している。焼却施設「クリーンおしま」建設前に計画した処理量の甘さが主な原因だ。だが、計画の甘さは構成自治体の責任ばかりでなさそうだ。建設費補助を盾に、財源に乏しい自治体に無理な計画を強いた、当時の国や道の施策が見え隠れする。

 「余裕を持たせて、1日処理能力150トンで造っていれば、今ごろは」―。各町のごみ担当者は異口同音に、こうつぶやく。同連合ではこの2年間で約1万トン、焼却できないごみが発生。大野など構成6町への埋め立てで急場をしのいでいる。

 建設計画段階にあった1998年、同連合を構成する各町は150トン規模での施設建設にゴーサインを出していた。だが、150トンという数値はいつの間にか、現行の最大処理量となる126トンに削られる。

 「126トンをクリアするのに、数字に手を入れたのではないか」。上磯のある議員は憤りをあらわにする。新たに施設を造る自治体に対し、国が補助金と引き換えに15―20%のごみ排出削減を計画に盛り込むよう求めていたこととの関連を示唆する。

 計画では、人口2万人規模のある町と、4万人の上磯町の家庭ごみ計画排出量がほぼ同一。このためか、上磯町は計画量の2倍を実際に排出している計算となり、結果としてほかの構成町のやり玉に上がってしまった。
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 長万部から松前までの広大な面積から出るごみを、一カ所で処理する手法に疑問を呈する関係者も多い。

 ダイオキシン発生防止の指針として、国は1997年、1日100d以上のごみを処理できる施設建設を奨励。道は、渡島管内をひとくくりでごみの焼却を促す広域化計画を打ち出した。

 人口1万人未満の自治体が多い道南地域では、2、3町が集まったところで100トン規模のごみ収集は難しい。一方で、既存の焼却施設の老朽化は進む。道が示した13町での案に乗るより手だてがなかった。

 だが、計画策定に着手して間もなく、国は方針を翻す。施設の処理能力が1日30トン程度でも補助するとし、99年に基準を改めた。渡島西部のある町職員は「こうなるなら(西部地区)4町で建てても対応できたはずだ」といらだちを隠さない。

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 「12町での運営は厳しいが、もう後戻りはできない。計画を含め一から、やり直したい」。海老澤連合長は行き場のない怒りを抑えつつ、こう語る。

 函館市への焼却委託という緊急事態を迎え、急ぐべきは余剰ごみの解消だ。施設は構成町すべての所有であることを念頭に置いた、新たな抜本策が待たれている。(阿部里子)

提供 - 函館新聞社



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