道立工業試験場とフジワラなど、鉛を使わないフリー銃弾開発
update 2004/12/6 10:19
道立工業試験場(札幌)や釣り用重りメーカーのフジワラ(上磯町追分、藤原鉄弥社長)、室蘭工業大(室蘭市)などの研究グループが、鉛を全く使わない新しいタイプの銃弾の試作品を作ることに成功した。素材は、スズにビスマスなどを加えた合金。性能を鉛製に近づけるよう今後も研究を続け、1月以降に実射試験をし、4年後の製品化を目指す。道内では本年度から、すべての大型獣狩猟で鉛弾の使用が規制されており、今後の切り替えに貢献しそうだ。
鉛は、比重が重く加工しやすい利点から、ほとんどの銃弾に使われてきた。しかし、エゾシカ猟で現場に放置されたシカの残り肉を食べた絶滅危ぐ種のオオワシなどが破片を食べ、鉛中毒死するケースが相次いだため、使用を規制。鉛を使わない銃弾の開発に着手した。ハンターは既に害の少ない銅弾などに切り替えているが、威力や命中精度が落ちるなどとする声もあり、鉛に近い性能を持った弾丸の需要がある。
同試験場の2004年度重点研究課題として、05年度までの2年間で研究する。予算は1300万円。製作は、鉛を使用しない釣り用重りの技術指導をした、フジワラの協力を求めた。 試作した銃弾は、狩猟用のライフル弾と散弾の2種類。比重や強度、融点などから、10月上旬までに、素材をスズやビスマスの合金に決めた。
円筒形のライフル弾は、型に入れたときの鋳造性を工夫。直径2・4―8・5ミリの散弾は、液適法で、表面張力を利用したきれいな球を実現した。
今後は鉛弾に近い効果を得られるよう、実射試験で命中度や着弾効果をなどを計り、必要な調整を加える。さらに、現在の製作方法では、鉛弾の数倍のコストがかかるため、生産方法を工夫し、2倍以下までに下げる予定。
研究期間は2年で終わるが、コストや価格調整の面から、製品化できるのは4年後になる見込み。研究を進める同試験場材料技術部の相山英明研究員は、「北海道の鉛害は深刻な状態。今後も鉛弾の規制強化が予想されるため、価格を抑えたい」と話している。
提供 - 函館新聞社
ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。