豚肉でE型肝炎感染/市内焼き肉店にも衝撃

update 2004/11/30 11:28

 北見市内の焼き肉店で、豚の内臓などを食べた6人がE型肝炎ウイルス(HEV)に集団感染したことで、函館市内の焼き肉店に衝撃が走っている。道南で豚レバーを取り扱う店はまれなものの、豚ホルモンは人気商品。来店客に十分な加熱を呼び掛ける店も出るなど、忘年会シーズンを前に戦々恐々といったところだ。渡島保健所は「豚が危ないわけではないが、十分に火を通してほしい」と、生焼けの危険性を警告している。

 「内臓関係の品物についてはよく火を通してお召し上がりください」―。集団感染が報じられた29日、函館市富岡町3の焼き肉バイキング「キングオブキングス富岡店」は、内臓肉の十分な加熱を求める紙を、焼き肉コーナーに急きょ張りつけた。

 息才秀夫統括マネジャーは「15年間営業してきて、豚ホルモンで具合が悪くなったケースは一度もなかったのだが…。(焼き方は)お客さま次第なので仕方がない」。感染源が特定されていない段階で、行政からの指導を待たず、いち早く顧客への周知徹底を始めた。

 道南では「豚レバーを食べる習慣がない」(焼き肉店関係者)ものの、同じ内臓肉の豚ホルモンは根強い人気を誇る。かき入れ時の忘年会シーズンを目前に、函館市内のある焼き肉店の店主は「報道されたばかりでまだ分からないが…」と、今後の売れ行きが気が気でない。消費者の豚離れを懸念する声も出始めた。

 内臓肉の生焼けの危険性は以前から指摘されていた。渡島保健所は昨年8月から、厚生労働省の通達に基づき、シカなど野生動物の肉と、豚レバーなど内臓肉の加熱調理を、飲食店に指導している。

 一方で、「うちは炭火なので、すぐに焼けるから大丈夫」と、十分な加熱調理に胸を張る店も少なくない。ただ、「焼く前の肉に触れたはしで、食べると感染する可能性がある」(渡島保健所)と、問題の根深さを指摘する意見もある。

 渡島保健所は「焦げ目がつくぐらいしっかりと加熱すれば大丈夫。できれば肉をのせるはしと、食事するはしを分けてほしい」(生活衛生課)と、注意を促している。

提供 - 函館新聞社



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