七飯町海外交流。一般参加の笹さん…コンコード町で裏千家茶道披露

update 2004/11/16 10:23

 【七飯】10月に11日間の日程で行われた七飯町の米国・マサチューセッツ州コンコード町への中高生海外交流研修には、本年度から一般参加の5人も加わり、着物の着付けやそば打ちなど日本の伝統を紹介してきた。その中の一人、笹るみ子さん(54)=大中山=は、30年以上にわたって研さんを積んできた裏千家茶道を披露。「礼に始まり礼に終わる茶の心を、アメリカ人も理解してくれた」と感激している。

 笹さんが海外交流参加を決意したのは、今年の夏まで町の国際交流員として勤務していたエミリー・ファローさんとの出会いがきっかけ。2年前に、エミリーさんが講師を務める英会話教室に「まったく話すことができなかったが、勇気を振り絞って参加した」ところ、エミリーさんも来日後に茶道を習っていたことから、意気投合した。

 エミリーさんは7月にコンコードへ帰国したが、笹さんは海外交流の一般募集を知り、現地で彼女の協力を得て茶道を紹介できないかと考えた。ただ英会話に関しては不安が大きく「ホームステイ先でコミニュケーションがうまく取れるのだろうか」と最後まで悩んだという。それでも「こんなチャンスはめったにない」と勇気を振り絞って応募した。

 茶道の披露はコンコード入りしてから3日目。「到着から2日間は、茶道を紹介することへの緊張とホームステイ先に溶け込めなかったため、ほとんど眠れなかった」。披露した場所は教会のホール。本番前にエミリーさんと一緒に集めた紅葉の葉をちりばめ、日本から持参した円相の色紙を立てかけ、茶道の空間を作り上げた。

 笹さんが亭主、エミリーさんが客となり、まずは向かい合って礼を交わし「礼には出会い、あいさつ、感謝の意味が込められている」と説明すると、参加者は日本の伝統的作法に深い興味を示してくれたという。「りんとした空気や心地よい緊張感が印象的だったようだ。翌日から街中で会うと、みんなが礼をしてくれて感激した」。また、実際に参加者にお茶をたてることも体験させ好評を呼ぶなど、茶道の心は確実にアメリカの人たちに伝えられた。

 “大仕事”を終えた笹さんは、ようやくそれまでの緊張感も取れ、ステイ先の生活にもなじんできた。子どものころから大好きだった「若草物語」の原作者・オルコットの生家がコンコードにあることを知り、案内してもらったり、自身も日本の料理を作ったり、互いに打ち解けることができた。「会話は最後までスムーズにいかなかったが、心と心が通じることができた」と振り返る。

 来年は今回のホストファミリーの母親が七飯町を訪問する。「その時までに少しでも英会話が上達して、七飯を案内できるようになりたい」と笹さんは新たな目標に向かっている。(小川俊之)

提供 - 函館新聞社



前のページにもどる   ニュースをもっと読む



ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。

ページ先頭へ

e-HAKODATE .com
e-HAKODATEは、函館市道南の地域情報や函館地図、旅行観光情報、検索エンジンなど、函館道南のための地域ポータルサイトです