道州制・権限移譲に町村不安

update 2004/11/12 13:24

 道州制特区構想の議論が進み、道は10月下旬に市町村への権限移譲案をまとめた。今月5日には渡島合同庁舎で意見交換会を開き、渡島管内の自治体に説明した。介護保険の事業者選定など、道が持つ権限を大幅に道内の市町村へ移譲する内容で、函館市などは「自主裁量権が増える」と歓迎する一方、小規模な町村は「事務量が増えるだけ」「暗に合併を促す圧力では」と不安を募らせている。

 「約4000ある道の権限のうち、2000弱は市町村に移譲できる」。5日の意見交換会で、道庁の担当者は説明した。渡島管内の自治体への移譲は、函館市には「かなりできる」とする一方、他町村には「専門的人員の確保など受け入れ態勢が整った上で」とした。

 移譲案は、道州政府は市町村の区域を超えた対応が必要な@広域事務A連絡調整事務B保管業務―に限定し、農地転用許可や薬局開設許可など、住民に身近な行政サービスは市町村が担うとしている。道は、政府に提案した特区構想の成否にかかわらず、2006年度から移譲を進めるという。

 このような流れを、函館市は「地域の問題を身近な行政が決定できる」(企画課)と好意的に受け止める。移譲に備えて、2日には庁内に各部署を横断する対策チームを立ち上げた。06年2月の合併で新市の人口が約5万人となる上磯町も「自主裁量権が増えるのは好ましい」(企画財政課)と話す。

 権限移譲が実現すれば、独自のアイデアで多様なマチづくりを実践できる。だが、管内17市町村のうち、11町村は人口1万人未満の小規模自治体で、合併論議は進行するが、交付税の削減や住民の高齢化などに直面していることから、権限移譲は期待より不安が大きい。

 渡島町村会の平田秀雄事務局長は意見交換会で、「町村の職員は一人で何役もの仕事をこなしている」と、町村自治体の思いを代弁した。権限移譲は自治体の事務量を増やすだけだと訴えた。財源と職員も支援するという道案を「道も苦しい状況なのに実現可能なのか」と懐疑的だ。

 道庁の担当者は、移譲は市町村の同意の下に行うとした上で、▽必要な財源とセット▽人的・財源的措置は包括的に提示する―と留意点を説明した。しかし、町村側は「具体性に乏しい」(木古内町)と批判的だ。また、「(移譲先に)一定規模のマチを想定しており、合併を促す道の無言の圧力では」(鹿部町)との声もある。

 町村側は、権限移譲には職員と財源の強化が不可欠とする。そのため、道の提示案は「それらの解決方法があいまいなので、小さな自治体が賛同するのは難しい」と口をそろえている。

提供 - 函館新聞社



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