連載企画「天津との翼」下
update 2004/11/1 09:59
友好交流都市、中国・天津市への定期航空路開設公式訪問団が手堅い成果を挙げているのが、交流事業だ。「白酒(パイチュウ)」を酌み交わして築き上げた天津人民政府との関係は、「朋友(ポンユウ)」と呼ばれるほど親密に。教育分野では、中学生のホームステイや留学生の派遣など、実績を積み重ねている。
■函大姉妹提携
今回の訪問で、函館大学と新設大学「南開大学浜海学院」が姉妹校提携を結ぶことで合意した。函大にとって中国で2校目の姉妹提携で、訪問団の坂野学・函大助教授は「中国語教育の強化を打ち出す上で、大きな成果」と、もろ手を挙げて喜ぶ。
西尾正範団長(函館市助役)は天津の大学関係者に、北大水産学部や道教育大函館校、公立はこだて未来大学との提携も持ち掛けるなど積極的に売り込んだ。「教育は、着実に効果が上がっているから」と笑顔を見せる。
■進まぬ企業交流
一方、「企業交流」では胎動らしき音はまったく聞こえてこない。
天津は大規模な経済・開発特区を構え、世界的な企業誘致に力を注ぐ。トヨタ自動車や携帯電話メーカー大手の米モトローラなど、“ビッグネーム”が進出しており、中小零細企業が肩を寄せ合う道南とは対照的に、大企業が軒を連ねている。
ある団員は「道南では、中国に進出できる体力のある企業が皆無に近い」と言い、「ニーズのあるところに空路はできる。天津―名古屋線はトヨタの影響が大きい。ニワトリが先か、卵が先かだが、まずは企業を育成しなけばないと思うのだが…」と顔を曇らす。
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西尾団長が、中国の作家・魯迅の「もともと地上に道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ」の一節を空路になぞらえ、路線開設を求めるひとこまがあった。
今回の訪中で、チャーター便運航という道しるべが立ち、関係者の間からは安どの声が聞かれる。ただ、本望とする定期便就航がほど遠い現状は、何一つ変わらない。観光誘致への特化など、戦略転換が求められている。
提供 - 函館新聞社
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